日米金利差拡大は不安の起爆点としてVIXと直結

263
このグラフは、日本国債利回り、米国債利回り、MOVE、VIX/VIX3Mの動きを示しています。
MOVEとVIX/VIX3Mの連動が確認できます。これは、市場参加者が感じている不確実性やリスクが、特定の資産クラスに限定されず、金融システム全体に共通する広範な要因に起因している可能性が高いことを意味します。
さらに、MOVE指数が上昇するタイミングで、日本国債利回りが米国債利回りを上回る、あるいはその差が大きく変動する現象が起きています。これは、投資家が日米両国の金融政策や財政状況を再評価し、資金フローに大きな変化が生じていることを意味します。
これらを総合すると、MOVE指数、VIX/VIX3M Ratio、そして日米長期金利のスプレッドを並行的にモニターすることは、市場全体の潜在的なストレスや転換点を早期に察知するための強力な「早期警戒システム」として機能すると言えます。

今後注目すべき点は、
❶MOVE指数とVIX/VIX3M Ratioが再び明確な上昇トレンドに入り、特にVIX/VIX3M Ratioが0.9を大きく超えて推移する場合。市場全体の不確実性が再び高まり、リスク回避の動きが強まる兆候と見ることができます。
❷MOVE指数が上昇する中で、日本国債利回りが米国債利回りひ対して再び優位に上昇し、金利差の縮小(あるいは逆転)が強まる場合。これは「市場が日本国債の脆弱性をより強く意識している」可能性、または「日銀の金融政策正常化への期待・懸念」が強まっていることを示します。

最近、小幡績慶応義塾大学大学院教授は次のように述べました。

「トランプ政権の信任はアメリカへの信任、それはアメリカ国債にもっとも如実に現れる……アメリカへの信任低下は、米国債暴落となり、アメリカ信任低下なら、ドル安、そのほかの通貨は?ということを超えて、世界的に金融市場トリプル安、リスク資産はすべて暴落となるだろう。そのときには、いちばん弱いところから攻撃を受けるから、日本なら、それは為替を絡めて、国債を攻撃されるだろう」
toyokeizai.net/articles/-/881357?display=b

教授の言う「トリプル安」危機に至る前に、金利差と為替の連動の乖離やVIX/VIX3Mのシグナルが先行して現れるプロセスに注目すれば、投資の好機となり得るでしょう。
ノート
グラフを詳細に見ると、二月から三月にかけて、日本国債の利回りは上がる一方、米国債の利回りは下がり、その結果、日米金利差は縮小しました。この間、VIX/VIX3Mは小さなピークをつくりました。
一方、四月上旬には日本国債の利回りは一旦急落し、米国債も下落する場面がありましたが、その後、日米国債ともに利回りが上昇に転じ、結果として、日米金利差は拡大しました。この間、BIX/VIX3Mはより大きな山を作りました。

さて、以上を踏まえると、小幡教授が「いちばん弱いところから攻撃を受ける」として日本国債を挙げたことには、鋭さがある一方で、些か片手落ちの印象が否めません。

鋭さとは、日本国債が、突出した債務残高や金融政策正常化のプロセスという構造的な要因から、「最も脆弱な、あるいは最初に狙われやすいスポットの一つ」であることを指摘した方です。
片手落ちの部分とは、4月上旬の市場の混乱が、「弱い部分」が日本国債だけでなく、米国債務問題という「本質的な歪み」を抱える米国債市場、そしてそれに連動する世界中のリスク資産全体であったということを十全に伝えきれていないことです。
ノート
FTの記事が参考になる。
nikkei.com/article/DGXZQOCB030K20T00C25A6000000/

気になった部分を引用する。

「国ごとの状況は異なるものの、根本的な要因は共通する。世の中が変わったのだ」
「財政赤字は問題になるまで認識されない、というのが市場における自明の理だ。今こそ、その問題になった時だ」
「債券投資家の忍耐力が限界に近づいていることは明白だ。今後、こうした懸念が他の資産クラスにまで影響が波及する危険性がある」
「債券から大きなリターンが得られる局面で、なぜ株式をわざわざ買うのか。個人投資家の需要に支えられている米国株市場は、このリスクをまだ織り込んでいない」
ノート
以下のように訂正します。

「日本国債利回りが米国債利回りを上回る、あるいはその差が大きく変動する現象が起きています」→「日本国債利回りが上昇して米国債利回りが下落する現象、あるいは日米国債ともに利回りが急落する現象が起きています」

「❷MOVE指数が上昇する中で、日本国債利回りが米国債利回りひ対して再び優位に上昇し、金利差の縮小(あるいは逆転)が強まる場合」→「❷MOVE指数が上昇する中で、日本国債利回りも同時に上昇し、日米金利差が縮小方向に動く場合」

免責事項

これらの情報および投稿は、TradingViewが提供または保証する金融、投資、取引、またはその他の種類のアドバイスや推奨を意図したものではなく、またそのようなものでもありません。詳しくは利用規約をご覧ください。