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Iスペース Research Memo(7):2023年9月期の営業利益は6期ぶりに過去最高を更新(2)

■インタースペース<2122>の今後の見通し

(2) メディア運営事業

メディア運営事業の売上高は前期比5%増の27億円、営業利益で1ケタ台の増益を見込んでいる。「ママスタ」を中心としたコンテンツ型メディアについては、引き続き魅力的なコンテンツの企画・制作・編集に注力することでUU数を拡大し、広告収益を伸ばしていく。「ママスタ」は増収を見込んでいるものの、プロモーションコストの増加やコンテンツ強化のための人件費増により減益となる見通しで、「saita」などその他のメディアの伸長でカバーする。一方、比較・検討型メディアについては、SEO施策の推進とコンテンツ拡充のための投資、収益力の強化に取り組んでいく。競争激化が続くなか、いかに費用対効果を高めてメディアへの訪問者数を増やしていくかがカギを握ることから、SEO施策や「ママスタ」など自社メディアとの連携強化により収益力強化を目指す。また、メディアに掲載するクライアントの開拓にも注力していく。

「塾シル」は、これら取り組みを推進することで、売上高を2023年9月期に前期比4割増、営業利益を2023年9月期第4四半期から黒字転換、2024年9月期に通期ベースで黒字化することを目指している。また、有料契約となる掲載塾数は1万教室(前期末7,900教室)を当面の目標としている。業界最大のポータルサイト「塾ナビ」の掲載教室数は8万教室以上、積極的なプロモーション戦略により「テラコヤプラス by Ameba」の掲載教室数は8.6万教室となるなど、競争が激化しているものの、子育てママのポータルサイトとして業界最大級である「ママスタ」との連携強化を図ることで集客力を高めていく。2022年9月期下期にドメインをmamastar.jpに変更して以降、アクセス数も伸び始めるなど効果もでてきている。「塾シル」の特徴は、保護者や生徒の知りたい情報が競合のポータルサイトと比較して充実している点にある。送客ルートには資料請求、体験授業、電話と3つのルートがあるが、なかでも体験授業申し込みと電話の問い合わせ件数が多く、結果的に送客に対する入塾率の割合が35~50%と競合サイトに比べて高い点が強みとなっている。学習塾側から見た費用対効果が高いことが認知されれば、掲載教室数もさらに伸びる可能性があり、今後の動向が注目される。

また、教育系メディアとして新たにプログラミングスクールの口コミサイト「プロリア」を立ち上げた。プログラミングスクールへの関心が高まっていることから、掲載教室数を拡充し収益化を目指す。「派遣サーチ」「転職Finder」などを運営する子会社のTAG STUDIOについては、広告宣伝費の抑制により営業利益で前期比2ケタ台の増益を見込んでいる。

その他、新たな収益モデルとして、月額課金型コンテンツやオンラインレッスンなどの育成にも取り組む。課金型コンテンツとしては、子会社の4MEEEが2021年8月、ヘルスケアアプリ「4MOON(フォームーン)」(無料または月額360円)をリリースした。「4MOON」は、10年来運営してきたヘルスケアアプリ「Moon(ムーン)」(広告型モデルで無料)の後継版となる。「Moon」を2022年5月末で終了し、数万人規模の登録会員の「4MOON」への移行を進めてきたが、現状では大半が無料会員のままのようで、いかに有料会員に移行させるかが課題となっている。有料会員への動機付けとなるような魅力的なコンテンツの開発を進めており、2023年前半にリリースする予定だ。また、自社運営の「ヨガジャーナルオンライン」では、公認インストラクター4名によるオンラインレッスン(課金体系は月額及び都度課金で提供)に加え、ヨガに関するコミュニティ「ヨガコミ」(月額100円)を2022年9月にリリースした。トークルームでヨガに関する様々な情報交換ができるほか、月1回のスペシャルレッスンが無料となる。業績への影響は軽微と見られるが、課金型収益モデルの運営ノウハウを蓄積していくことで、新たなビジネスへつなげる考えだ。

(3) 人材戦略について

既述のとおり、同社は各部門で生産性向上に取り組んでおり、人員規模についてはさらなる抑制が可能と見られる。このため、採用については新規・中途採用ともに引き続き絞り込む方針だ。また、優秀な人材の定着率を高めるため、テレワーク環境下での教育体制を充実させるほか、制度改革にも積極的に取り組んでいく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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