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グローセル Research Memo(6):2025年3月期に売上高800億円、営業利益19.0億円が目標(1)

■中期経営計画「プロジェクト“S”」

1. 中期経営計画の概要

グローセル<9995>では、中期経営計画として「プロジェクト“S”」(2023年3月期~2025年3月期)を推進している。この“S”のネーミングは、「SemiconductorとSensorの販売拡大を通じて、Survival競合に勝ち抜き、Sustainableな社会実現へ貢献するSuperiorな会社になる」ことを目標としていることに由来する。

(1) 基本方針

基本方針として、以下の3つを掲げている。

・創造と革新:優れた製品や技術の創出による新たな価値の提供、社会課題解決と顧客価値の創造

・あるべき姿:持続可能な社会実現への貢献、技術商社として信頼され選ばれる企業へ

・あるべき姿に向けて:サステナビリティ経営、高付加価値、収益重視、戦略的D-inの徹底推進

(2) 数値目標と進捗

数値目標としては、2025年3月期に売上高800億円、営業利益率2.4%、営業利益19.0億円、ROE5.6%を掲げている。また製品別売上高は、ルネサス/ABUが466億円、H&CSBが249億円、「STREAL」が85億円としている。

しかし実際には、進行中の2023年3月期の業績が好調であり、通期の予想が売上高660億円、営業利益13.0億円、営業利益率2.0%、ROE5.4%へ上方修正され、当初計画を大幅に上回っている。このため、この3か年計画の中間期である2024年3月期の計画値、営業利益9.4億円、同利益率1.4%、ROE3.3%を前倒しで達成する可能性が高い。現時点では、この3か年計画の最終目標値に変更はないが、2023年3月期の業績が発表される時期には、目標値が見直される可能性が高そうだ。

2. 売上・事業の拡大(ルネサス/ABU)

2023年3月期の売上目標は当初の408億円から389億円へ若干だが下方修正された。一方で、D-inの目標金額は411億円と変わっていない。主なD-in目標案件としては以下のようなものがある。

・PCU向けR-CarS4+PMIC LTV 126億円 MP:2026/4~

・HEV Inverter向けIGBT/FRD LTV 70.4億円 MP:2022/11~

・ETC 1.5向けセキュアMCU LTV 16.2億円 MP:2027/10~

・メータ向けR-CarE3 LTV 10.9億円 MP:2024/8~

・車両制御ECU向けPMIC LTV 1.2億円 MP:2023/12~

(LTV:Life Time Value 累計売上高、MP:Mass Production 量産時期)

(1) 中計達成のための下期活動ポイント

成長市場(自動運転・安全支援・電動化)へのD-in推進、ソフト開発による付加価値・顧客満足度の向上を図る。特に「オンサイト」「デバイス知見」「セキュリティ」「機能安全」の4つが特筆すべき強みだ。

具体的には、自動運転(AD)、安全支援(ADAS)、電動化/脱炭素(モータ、燃料電池、天然ガス)の領域に注力する。

(2) PCU(Physical Computing Unit)案件

自動車内の統合制御ユニットに(デジタル製品SOC:R-CarS4N-8A)+(アナログ製品 電源IC:RAA271005)+

(エンベデッドソリューション開発部:R-CarS4ソフト支援実績)がルネサスのWinning Combinationに採用。

(3) D-inへの取り組み:脱炭素社会への貢献

温室効果ガス削減、xEVソリューションを進める。具体的には「内燃機関から電動車両開発の加速」「航続長距離化への対応」「インフラ整備の拡充」などに関連する分野を強化する。例として、<バッテリ充電監視><モータ/インバータ制御>などの領域で「Winning Combination/Cross Sell」を実践する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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