出来高プロファイルのインジケーター: 基本的なコンセプト

定義

出来高プロファイルとは、決められた期間内での特定の価格帯の取引状況を示す高度なチャートインジケーターです。出来高プロファイルのインジケーターは(行数や期間などのユーザー定義パラメータで計算を行い)チャートにヒストグラムをプロットして、出来高に基づき主要となる重要な価格レベルを明らかにします。出来高プロファイルは、基本的には指定された期間に特定の価格レベルで取引された総出来高を取得し、その総出来高を買い(価格を上昇させる取引)または売り(価格を下落させる取引)のいずれかの出来高に分けることによって、トレーダーがその情報を容易に見ることができるようにするものです。

出来高プロファイルは、次のタイプのものをご利用いただけます:

  1. AAVP (オートアンカー出来高プロファイル)
  2. FRVP (固定期間出来高プロファイル)
  3. PVP (周期的出来高プロファイル)
  4. SVP (セッション出来高プロファイル)
  5. SVP HD (セッション出来高プロファイルHD)
  6. VRVP (可視範囲出来高プロファイル)

基本的なコンセプト

計算のアルゴリズム

出来高プロファイルのインジケーターは、同じシンボルの下位足からのデータを使用して計算を行います。たとえば、1日のセッションで出来高プロファイルを計算するには、その日のセッションで取引が行われた1分足のバーをすべて読み込んで、取引の価格水準と価格動向を分析します(バーが始値より上か等しく閉じれば上昇バー、そうでなければ下降バーとカウントされます)。このように分析されたデータが、出来高プロファイルのヒストグラムへと順次追加されることになります。

どの下位足を計算に使うかについては、各インジケーターごとにその決定ロジックが異なっています。

計算で使用される出来高

出来高プロファイルが使用する出来高の種類は以下のとおりです:

  • 取引量 - 株式の場合
  • ティックボリューム* - 指数やFX、および暗号資産CFDの場合
  • ベースボリュームまたはクォートボリューム - 暗号資産の場合

* ティックボリュームは、価格更新の量を表します。買い/売りの出来高の代わりに上昇/下降を出来高として扱って、バー内での価格の方向に基づく出来高プロファイルを計算します。終値が始値以上なら上昇の出来高とし、終値が始値未満であれば下降の出来高とします。

一般的に重要とされる価格レベル

ポイントオブコントロール (POC) – 該当の期間で最も取引量の多い価格レベル。 

プロファイルハイ – 指定した期間での最高到達価格レベル。

プロファイルロー – 指定した期間での最低到達価格レベル。

バリューエリア (VA) – 該当の期間の全出来高の内、指定したパーセンテージが取引された価格レベルの範囲。通常このパーセンテージは70%に設定されますがトレーダーの判断次第です。 

バリューエリアハイ (VAH) – バリューエリア内の最高価格レベル。

バリューエリアロー (VAL) – バリューエリア内の最低価格レベル。

バリューエリア (VA) の計算方法
  1. プロファイル内で取引された総出来高を算出します(総売買数)。
  2. 総売買数に0.7を掛けて、総売買数の70%の数値を算出します(70%はデフォルトの値です。具体的に何パーセントにするかはトレーダー次第です)。
  3. POCから出来高を合計していきます。これはプロファイル内で総出来高が最大の行で、まずその総出来高を記録します。POCはバリューエリアに追加される最初のプロファイル行になります。
  4. POC(初期のバリューエリア)の上の2行をチェックして双方の出来高を合計します。
  5. POC(初期のバリューエリア)の下の2行をチェックして双方の出来高を合計します。
  6. どちらの出来高の合計が大きいかを判断して、大きい方をステップ3のPOCの出来高の合計に追加します。
  7. ステップ4と5を繰り返して、2つの数値のうち大きい方をバリューエリアに追加します。 
  8. バリューエリアの合計ボリュームがステップ2の数値と一致するか、わずかに超えた場合にバリューエリアが決定されます。
  9. バリューエリア内の一番上の行がバリューエリアハイ(VAH)となり、バリューエリア内の一番下の行は、バリューエリアロー(VAL)となります。
非標準的なチャートタイプ(平均足、練行足など)での計算について 

上記のチャートで出来高プロファイルのインジケーターを使用する場合、チャート上のデータは合成された(つまり、実際の価格を表していない)ものであるため、出来高のデータもその影響を受けると考えるのが重要です。例えば、日足の1本のローソク足が始値より上で終了した場合でも、練行足においては、N個に分割されたレンガが連続して上昇したということになり、そのローソク足の1日の出来高をNで割った値が連続するレンガすべてに付与されることになります。こうしたことを考慮に入れないと、予測が不正確になり、トレード戦略の有効性が妨げられることになります。

スタイル

出来高プロファイル

出来高プロファイルの表示/非表示を切り替えます。

ヒストグラム自体の数値について表示/非表示を切り替え、テキストの色を調整します。ここで表示される数値の内容は、インジケーターの「パラメーター」タブ内にある「出来高」欄の入力に依存します。「合計」を選択すると、その行の総出来高、「買い/売り」では範囲内での買いと売り両方の出来高が表示されます。「デルタ」では差分、つまりその価格水準での買いと売りの出来高の差だけが表示されます。

幅(ヒストグラムの%)

ヒストグラムの行の幅を変更します。最も長くなる行がこの設定に従ってスケーリングされ、その他の行は全てこのスケーリングに従うことになります。例えば、20K、40K、100Kの3つの行が表示されている状態で、幅を40に設定した場合、100Kの行はヒストグラムの幅の40%、40Kは40%の40%(全体の16%)、20Kは40%の20%(全体の8%)に拡張されることになります。

配置

行を右または左のどちらに表示するかを設定します。

買い(上昇)の出来高

買い(上昇)の出来高の色と不透明度を設定します。

売り(下降)の出来高

売り(下降)の出来高の色と不透明度を設定します。

バリューエリアの買い

バリューエリア内の買いの出来高の色と不透明度を設定します。

バリューエリアの売り

バリューエリア内の売りの出来高の色と不透明度を設定します。

VAH

バリューエリアハイの表示/非表示を切り替えます。

VAL

バリューエリアローの表示/非表示を切り替えます。

POC

POC(ポイントオブコントロール)の表示/非表示を切り替えます。

POCの推移

市場のセッションの間にPOCがどう変化したかを表示するPOCの推移の表示/非表示を切り替えます。

VAの推移

市場のセッションの間にバリューエリアがどの様に変化したかを表示するVAの推移の表示/非表示を切り替えます。

ヒストグラムボックス (「VRVP (可視範囲出来高プロファイル)」では設定できません)

出来高プロファイルの表示領域の背景色と不透明度を設定します。

着目点

サポートとレジスタンスレベル

多くのトレーダーが出来高プロファイルを使用する第一の目的は、基本的なサポートとレジスタンスレベルを特定するためです。特に重要なポイントとしては、出来高プロファイルをサポートやレジスタンスレベルを識別するために使用するのは事後的な手法だということです。これは現在のプライスアクションと分析に基づいて将来の価格変動を予測するような(トレンドラインや移動平均線などを使って)事前に先回りする手法とは異なり、事後的な手法は過去の価格変動と出来高動向に依存していることを意味します。事後的な手法が有効に機能するのは、市場ですでに付けられた価格レベルに有意性や重要性を見いだそうという時です。基本的なテクニカル分析では、サポートレベルは下落途中で価格をサポートする価格水準、レジスタンスレベルは上昇途中で価格を抑える価格水準であることを示します。したがって、出来高が買い方に大きく傾く出来高プロファイルのボトム付近の価格レベルは、サポートレベルを示唆するものと結論づけることができます。逆もまた同様です。出来高が売り方に大きく傾く出来高プロファイルのトップ付近の価格レベルはレジスタンスレベルを示唆するものです。

ボリュームノード

ハイボリュームノード (HVN) はある価格水準付近で見られる出来高のピークです。HVNは均衡期間を示す指標と考えられます。通常は、買い手と売り手の双方にかなりの取引があり、マーケットは出来高プロファイル内の他の価格レベルと比較して、かなりの時間その価格帯に留まります。これはその銘柄の「適正価格ゾーン」であることを意味する可能性があります。価格が以前のHVN(または適正価格ゾーン)に近づくと、横ばいの動きをする期間が続くことが予想され、マーケットがすぐにその価格を突破する可能性は低くなります。

ローボリュームノード (LVN) はその反対です。ある価格レベル付近で見られる出来高の谷(またはかなりの低下)です。ローボリュームノードは通常は急激な上昇や下落、つまり急騰急落の結果です。急騰急落の期間は一般的にまず最初に出来高が急増し、その後出来高が大きく落ち込みます。出来高の落ち込みはその銘柄にとって「不適正価格ゾーン」であることを暗に示します。価格が以前のLVN(または不適正価格ゾーン)に近づくと、マーケットがその価格帯を一気に突破する、もしくは急速に跳ね返る可能性が高くなります。これは不適正価格ゾーンでは、出来高プロファイル内の他の価格帯に比べてそのゾーンで多くの時間を費やすことが無いためです。

ストラテジーの例

他の大部分のツールやインジケーターと同じように、出来高プロファイルにも数多くの用途があります。出来高プロファイルを主軸にしたトレード戦略も多く存在しますが、以下にご紹介するものは、当日の始値と前日の出来高プロファイルの比較を元にした基本的なストラテジーとされているものです:

  • 当日の始値が前日のバリューエリアよりも高い(しかしプロファイルハイよりはまだ低い)状況で、価格がPOC(ポイントオブコントロール)まで戻した後に(当日の始値方向に)上昇するケースでは、POCまでの戻りの間に買いのチャンスがあります。
  • 当日の始値が前日のバリューエリアよりも低い(しかしプロファイルローよりはまだ高い)状況で、価格がPOC(ポイントオブコントロール)まで戻した後に(当日の始値方向に)下落するケースでは、POCまでの戻りの間に売りのチャンスがあります。
  • 当日の始値が、前日の出来高プロファイルの価格帯の完全に外側(プロファイルハイよりも高いかプロファイルローよりも安い)の場合には、前日の出来高プロファイルの価格帯から見て当日の始値方向に価格が大きく変動する可能性がある銘柄と考えられます。

サマリー

出来高プロファイルはあらゆるトレーダーにとって非常に利用価値のあるテクニカル分析ツールです。出来高プロファイルが重要であり続ける点はその多用途/多目的性にあります。出来高プロファイルは非常に幅広い用途を持つチャートツールであり、他の多くの分析方法と比べても、出来高プロファイルの有用性についてはほとんど議論する必要がないくらいです。出来高プロファイルが提供するデータは疑いようのないものですが、それでも新しく創造的な使い方を発見できる余地がトレーダには残されています。出来高プロファイルは非常にシンプルな形態をしていますが、過去から存在するサポートやレジスタンスエリアを事後的に見つける優れた手法でありながらも、トレーダーが事前予測を行う際にも活用されています。この記事内で示したトレード戦略がそのひとつの例です。リアルタイムイベント(当日の始値)と過去の出来事(前日の出来高プロファイル)を比較し、その関係性に基づいてトレード判断を行うことができるという点で素晴らしい実例になっています。