TradingViewイールドカーブ: 金利の見方とチャートの利用法

TradingViewイールドカーブ」は債券のマーケット分析を掘り下げて強力な戦略を構築するために設計されたものです。このツールを使って債券のリターンをさまざまな満期によって評価すると、世界の債券の中から金利が最適なものを見つけることができます。


目次:

債券のしくみ

国債とは、国家が現在の支出を賄いつつ債務を履行するために発行する証券のことです。国債を買った人は国家からするとお金の貸し手になり、国はその借り手になります。各政府の方針により、国債の償還期間は1ヶ月から95年まで様々なものがあります。

国債の発行体は政府ということもあり、民間企業よりもデフォルトや深刻な問題に直面する可能性が低いので低リスクの投資と考えられています。国債の中には発行時にしか買えないものもあれば、流通市場(セカンダリーマーケット)でも買えるものもあります。

債券保有者は、ほとんどの場合、定期的に利子を受け取ることができます。これはクーポンと呼ばれるもので、通常は半年ごとに支払われます。また、債券が満期を迎えると、投資家はその債券に示された額面金額で返済を受けます。

たとえば、ある投資家が額面1,000ユーロ、クーポンレート2.2%、10年満期の債券を購入したとします。この場合、10年間半年ごとに110ユーロ、つまり年間で220ユーロ、合計すると2,200ユーロの利子を受け取ることになります。さらに、この債券が満期を迎えた時に政府は投資家に1,000ユーロを返済します。したがって、債券保有者が最終的に受け取る支払額は1,220ユーロになります。

ただし、すべての債券にクーポンレート(金利)が存在しているわけではありません。ゼロクーポン債と呼ばれるものもあります。短期債(満期まで1年未満の債券)もこの一種で、通常は額面価格より割安で販売されますが、すぐに満期を迎えてしまうこともあり安定したキャッシュフローが得られないという側面があります。

たとえば、100ポンドの1年債が額面に対して2.52%のディスカウントで提供されたとすると、この債券の買い値は97.48ポンドになります。そして満期を迎えると、この債券で100ポンドを受け取ることができます。

また、債券価格は株価と逆相関の関係にあることは注目に値します。つまり、株価が上昇すると債券価格は下落します。

さらに、新しく債券が発行されると、いま保有している債券価格も変化します。このとき、新しく発行された債券(新発債)のクーポンレートが高いほど、過去に発行された債券(既発債)の価格が下がることになります。

興味深い事例としては、2025年4月にスイスの短期債が2022年以来初めて利回りがマイナスになったことが挙げられます。つまり、この債券の保有者は、購入時に支払ったお金よりも将来的に受け取るお金が少なくなる可能性があることになります。これは世界経済の見通しが不透明になったことからマーケットに動揺が生じ、マイナスであってもリターンが保証される安定性の高い金融商品への需要が高まったことによるものでした。

TradingViewイールドカーブとは

債券は定期的に発行されており、中には毎週発行されるものもあります。ほとんどの債券には流動性があり、流通市場で取引されます。投資家は既発債と新発債の関係を理解するためにイールドカーブ ― 債券の利回りの変化を1つのチャートで表示する視覚的ツール ― を利用します。

イールドカーブは債券データを収集して、以下2種類のスケールで表示します:

  • テナースケール: 債券の満期までの期間(テナー)を横軸にして、そのリスクエクスポージャーを評価します。このスケールの各ポイントが債券の残存期間と利回りを表します。満期ポイント間の間隔は不確実性のレベルを反映しており、間隔が大きいほどリスクが高いことになります。
  • 線形スケール: 債券の利回りや満期までの期間などの単位の変化を等間隔で表示したデータです。多くの場合、債券どうしの関係は非線形ですが、線形スケールはそのおおよその変化を視覚化しているので、異なる債券間の値を比較しながら全体的な傾向を判断するのに役立ちます。

このボタンの隣には「主要テナー」があります。これを有効にすると、主要とされる満期の中でも特によく取引されている債券が表示され、ベンチマークとしても使用できます。

主要テナーとして広く使われているものは以下のとおりです:

  • 月: 1, 3, 6
  • 年: 1, 2, 3, 5, 7, 10, 20, 30

簡単な切替操作で、最も流動性が高い債券を探し出すことができます。これで、多くの投資ファンド・銀行・保険会社などの主要プレーヤーが注意深くモニターしている重要な時期を見極めることができます。

イールドカーブのページでは、まず米国債のデータが表示されます。デフォルトでは、これらの3つの曲線は、3つの日付(今日、1ヶ月前、1年前)で提示された国債の利回りをそれぞれ表しています。

カーブで表示されたデータは、選択した債券について異なる満期のデータを示すとともにチャート下部の表中の行と列にも示されます。カーブを非表示にするには、リストからそのカーブの選択を解除するだけです。

異なる国の債券を比較するには、「+追加」ボタンを押して、表示・比較したい債券を選択します。

表示されているデータの右側の「複製」ボタンを押すと、同一の国債について新しい曲線が作成されます。

過去の値と比較したい場合は、債券の日付を変更します。

イールドカーブを微調整したら、その結果を友人・メンバー・トレード仲間と共有することができます。スケールメニューの隣にある「スナップショットを取得」ボタンを押してください。

それでは、このイールドカーブの機能が他のTradingViewツールとどう関連しているか、そして、債券の世界でこれらのツールをフル活用すると分析がどのように強化されるのかを見てみましょう。

スーパーチャートとの比較

イールドカーブもスーパーチャートも視覚的なツールですが、その違いはどこにあるのでしょうか?

以下、2つのチャートを見てみましょう。

スーパーチャートでは、特定の債券(たとえば、10年物の米国債)を1つ選び、その経年変化をリニアに見ることができます。もちろん、「比較またはシンボルの追加 」ボタンを押してシンボルを追加することもできますが、ここで表示されるデータはあくまで単一の債券のパフォーマンスを詳細に調査するためのものになります。

イールドカーブを使うと、線形スケールであっても、ある国の債券を全てさまざまな期間にわたって見ることができます。ここでは、10年物米国債について、選択した時点(たとえば、今日)の状態を一目で見ることができます。

もう一つの重要な違いは、スーパーチャートでは過去を調べることができるのに対し、イールドカーブでは債券の金利を将来にわたって予測することができるという点です。

スーパーチャートからイールドカーブにアクセスするには、画面右のツールバーにある「イールドカーブ」ボタンを押します。

分割表示は、スクリーナーやカレンダーなど他のTradingViewプロダクトでも利用できます。分析力アップのためにも「分割表示モード」への簡単な移行手順をご一読ください。

以上より、スーパーチャートは1つの債券についてあらゆる変化を細かく調べる際に力を発揮するのに対して、イールドカーブはその国全体の国債について比較できるツールと言えます。

その他のTradingView債券ツール

債券の世界は真空地帯に存在しているわけではありません。債券市場は世界経済や他の資産のパフォーマンス、金融関係者のポリシーに影響を受けます。

最新情報を手に入れるには、債券ニュースをフォローしたり、経済カレンダーを調べるのがよいでしょう。金利がどうなるのか、グローバル資本が次にどこへ向かうのか、誰にもわかりません。

スーパーチャート以外にも、債券ヒートマップ債券スクリーナーというツールもあります。債券のファンダメンタルについて徹底的に調査するかどうかで、その分析が堅実なものになるかどうかが決まります。

最後に大事なことですが、債券についてのコミュニティのアイデアもチェックしてみましょう。また他のトレーダーの「マインド」から何をしようとしているのかを探ってください。そこからトリックのひとつやふたつくらいは学べるかもしれません。

おわりに

国債は低リスクの投資対象であり、株式のように流通市場でも取引されています。額面価格は発行時に決定され、その後、新しい債券の募集が行われるたびに変動します。

国債の入札や流通については、新発債のクーポンレートが既発債のものと比べて上下するので、これが現在の国債価格に影響を与えます。このため、債券保有者は現在の債券を売却して新たに政府保証証券を購入しなくてはならない可能性もあります。

トレーダーも投資家も「TradingViewイールドカーブ」を利用すれば利益が生まれるチャンスを見極めることができ、さらに信頼できるブローカーを通じてスーパーチャートからトレードすることもできます。

金融アナリストも世界経済の研究やニュースのフォローをしながら、コミュニティのアイデアも追跡して金融市場の動きを把握しています。

TradingViewでイールドカーブを調べるのはもちろん、他のプロダクトも活用して債券に関する最新情報を手に入れましょう。

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