練行足チャート
定義
練行足チャートは価格変動だけを計測するチャートタイプです。"renko" という英単語は日本語の単語「レンガ」から派生したもので、英単語では "bricks" を意味します。これは偶然ではなく、練行足チャートは価格変動を元に作られる一連のレンガ(バー)から構成されます。練り足のコンセプトはとてもシンプルです。まずユーザーは事前にレンガのサイズを定義します。そしてユーザーが定義した「レンガのサイズ」を超える価格変動が発生すると、最も直近のレンガの上か下に新しいレンガがチャートで追加されます。
重要なポイントは、価格変動が事前定義の「レンガサイズ」を完全に「満たす」場合にのみ新しいレンガが追加されるという点です。価格が(上か下に)前のレンガの値を超えた場合でも、十分な価格変動が発生しない内は新しいレンガは形成されません。例えばレンガのサイズを2ポイントに設定して直近のレンガが52ドルから54ドルの価格をカバーしているとします。この場合新しいレンガは、価格が56ドルを超えるか、50ドル未満以下になるまで形成されません。例えば57ドルのように価格が56ドルを超えると、新しいレンガが56ドルまで形成されます。
レンガの配置に関して2つのルールがあります:
- レンガは常にそれぞれの角に密接します。
- 縦列に複数のレンガを重ねることはできません。
レンガのタイプ
tradingview.com の練行足チャートで生成されるレンガには4種類あります。
- 上昇レンガ — 前のレンガの上側に形成されるレンガ。
- 下降レンガ — 前のレンガの下側に形成されるレンガ。
- 上昇予測レンガ — 日中の時間足で(実際の終値が確定する前に)現在価格に基づいて形成される予測の上昇レンガ(あくまでもその時点での予測)。
- 下降予測レンガ — 日中の時間足で(実際の終値が確定する前に)現在価格に基づいて形成される予測の下降レンガ(あくまでもその時点での予測)。
レンガの計算方法
レンガの計算には3種類の方法があります:
- アベレージ・トゥルー・レンジ (ATR) — アベレージ・トゥルー・レンジ (ATR) インジケータで生成された値を利用します。ATRは金融商品のノイズやボラティリティを除外する為に用いられます。ATR方式では「自動的に」適切なレンガサイズを決定します。 通常のローソク足チャートでATR値を計算してその値をレンガサイズとします。
- 従来方式 — レンガサイズにユーザーが事前に定義した絶対値を用います。少なくとも事前に定義したレンガサイズよりも大きい価格変動が発生した場合にのみ新しいレンガが作成されます。この方式のメリットは、とてもシンプルで新しいレンガが形成されるタイミングや位置の予測が容易な事です。逆にデメリットは、特定銘柄で正しいレンガサイズを選択するにはしばらく検証を行わなければいけない事です。一般的にレンガのサイズは銘柄の現在の価格の20分の1ほどに設定します。
- パーセントLTP — ボックスサイズがユーザー定義のパーセント値に基づいたものになります。ここで指定されたパーセント値を直近の終値に適用してボックスサイズを計算します。そして、最も近いバーの最小ティックサイズに丸められ、この値がすべてのバーで一貫して適用されます。ただし、この計算方法はリペイントの影響を受けることを知っておく必要があります。この影響の全体について理解したい場合は、こちらで詳細をご確認ください。
正確な練行足のレンガを計算するにはティックデータが必要となる為、妥協案としてTradingViewではご覧のチャートの時間足の終値またはOHLC値を利用します。例えば10分足の練行足チャートでは10分足の終値やOHLCからレンガが生成され、10分のインターバルが経過した時のみ練行足のヒストリで生成されたすべてのレンガがロックされます。従ってより小さい時間足では、ティックベースの練行足のレンガに類似するより正確なレンガが生成されます。
現在のチャートのインターバル間隔中には予測バーを利用できます。例えば10分のインターバル中に現在の終値が次のレンガのしきい値やそれを超えて移動すると、1つ以上の予測のレンガが表示されます。予測レンガは、チャートのインターバル間隔の間にリアルタイムデータでのみ生じます。またチャートがリロードされると予測バーは失われます。この内容の詳細はこちらをご覧ください。
練行足チャートの利用
一般的に練行足チャートを利用するトレーダーは、簡単に利用できて解釈が容易である事から練行足を利用しています。また練行足は価格変動以外の他のすべての変数を除外しますので通常のローソク足とも異なります。練行足チャートには多くの利用方法があり、いくつかの一般的な使い方としては、基本的なサポート&レジスタンレベルやブレイクアウトを見つけたり、追加インジケーターでシグナルを生成させるといったものがあります。
サポート&レジスタンスレベル — 練行足チャートを使うと、頻繁に特にサポートとレジスタンスレベルの間でバーが生成される場合にトレーディングレンジが明確になります。
ブレイクアウト — サポートとレジスタンスのトレーディングレンジ内で反発を繰り返した後、明確に一定方向にレンガが生成され始めるとブレイクアウトが発生します。
買われすぎ/売られすぎ — 練行足チャートでトレードシグナルを確認する為に追加インジケーターを使う良い例には、RSIを練行足と組み合わせて買われすぎ/売られすぎを判定する方法があります。
練行足のレンガの価格は本質的に合成されたものであり、通常のバーとは異なりいかなる特定日時の市場価格を反映するものではない点にご注意ください。練行足のレンガは、裁量トレードでは価格変化について有用な解釈をもたらす可能性がありますが、注文が特定日時の実際の市場価格で約定されなければならないバックテストで用いる事は推奨されません。練行足チャートの価格で約定されたバックテストの注文は必然的に不正確となります。この件の詳細はこちらをご確認ください。
TradingViewの練行足チャートの設定
上昇バー — 上昇バーの色と枠を変更します。
下降バー — 下降バーの色と枠を変更します。
上昇予測バー — 上昇予測バーの色と枠を変更します。
下降予測バー — 下降予測バーの色と枠を変更します。
ボックスサイズの計算方式 — レンガの計算方法を、ATR/従来方式/パーセントLTPから選択できます。
ソース — クローズ(終値)とOHLCを選択できます。
ATRの期間 — レンガの計算方式にATRを選択した場合にATRの(過去に遡る)期間を設定します。14がデフォルトです。
ボックスサイズ — レンガの計算方式に従来方式を選択した場合にユーザー定義のレンガサイズの値を設定します。
パーセント — ボックスサイズの計算方法としてパーセントLTPを選択した場合に、この値によってボックスサイズとして使用される最終取引価格のパーセント値を指定します。デフォルトは1%です。