ボルテックス・インジケーター (VI)
定義
ボルテックス・インジケーターは上昇トレンドと下降トレンドを示す2本のラインで構成されており、一般に上昇トレンドを示すライン (VI+) は緑色、下降トレンドを示すライン (VI-) は赤色で描かれます。このインジケーターは特にトレンド反転の見極めや、現在のトレンドとその方向性の確認に使用されます。
歴史
ボルテックス・インジケーターは、エティエンヌ・ボーツとダグラス・シープマンの両氏により開発され、 “Technical Analysis of Stocks & Commodities” 誌の2020年1月号で初めて紹介されました。
計算
ボルテックス・インジケーターの計算には大きく分けて4つの部分があります。以下、これらを少し掘り下げていきます。
トゥルーレンジ (TR) とは、以下のうち最大のものを指します:
- 現在の高値 - 現在の安値
- 現在の高値 - 1つ前の終値
- 現在の安値 - 1つ前の終値
上昇トレンドおよび下降トレンドを示すラインの動きは、以下のトレンドラインの計算によって決定されます。また、特筆すべき点として、これらのラインは通常ローソク足チャートの下に表示されます。
- VM+ = (現在の高値 - 直近の安値) の絶対値
- VM- = (現在の安値 - 直近の高値) の絶対値
パラメータの期間 (n) はトレーダーの好みに応じた値になります。一般的には14日から30日の間の値が選択されます。パラメータの期間に関する計算は以下のとおりです:
- 直近n期間分のトゥルーレンジの合計 (VM+とVM-)
- 直近n期間分のトゥルーレンジの合計 = SUM TRn
- 直近n期間分のVM+の合計 = SUM VMn+
- 直近n期間分のVM- の合計 = SUM VMn-
VI+とVI-のトレンドラインを作成します。最終的にはボルテックス・インジケーターの2本のトレンドラインを以下の計算式で算出する必要があります。この過程を日々繰り返すことによって、トレンドラインが形成されます。
- VIn+ = SUM VMn+ / SUM TRn
- VIn- = SUM VMn- / SUM TRn
要点と着目点
ボルテックス・インジケーターは、反転シグナルをサポートする他のインジケーターやツール、あるいはトレンド反転のパターンと併用するのが最適です。
上昇トレンド、つまり買いシグナルが発生するのは、VI+ラインがVI-ラインの下からVI-の上へと交差するトレンドラインになった時です。
下降トレンド、つまり売りシグナルが発生するのは、VI-ラインがVI+ラインの下からVI+の上へと交差するトレンドラインになった時です。
一般的にはどちらのトレンドラインが上にあるかによって、その銘柄の位置づけ (上昇トレンドか下降トレンドか) が決定されます。
制限事項
ボルテックス・インジケーターを使用する際には、VI+とVI-のクロスオーバーが時に誤った取引シグナルになり得るということに留意すべきでしょう。特に価格の動きが激しく、平滑化されたインジケーターやツールによる対策が行われていない場合に顕著に発生します。この現象の改善については、多くのトレーダーが、偽のシグナルを減らすには使用する期間の調整が役立つと考えています。もしこうしたケースに遭遇した場合はインジケーターの設定変更を試し、期間の調整を行うことで、より良い結果が得られるかどうかを確認してみてください。
サマリー
ボルテックス・インジケーターは2本のトレンドライン、VI+とVI-を基にしており、これらはそれぞれ現在の市場における、上昇トレンドおよび下降トレンドの強さを示します。このインジケーターは、トレンドの反転を見極めたり、トレンドライン同士の位置関係から現在のトレンドとその方向性を確認するのに役立ちます。