「バーにつき1回」のアラートについての問題
インジケーターのアラートにはトリガーの頻度として「バーの終値毎に1回」(「1回限り」/「毎分1回」/「バーにつき1回」)という設定がありますが、バーの形成中にこれとは異なるタイミングでアラートがトリガーされることがあります。HLC(H: 高値、L; 安値、C: 終値)に依存するインジケーターであれば、バーの形成中にHLCの値が変化するため、それにしたがってインジケーターの値も変化することになります。したがって、チャート上の見かけからアラートがトリガーされると思われるタイミングと、実際にアラートがトリガーされるタイミングがいつも一致するとは限らないということが生じます。
例として、次のような2つの典型的なケースを考えてみましょう:
- チャート上ではまだ条件が満たされていないように見えるのに、アラートがトリガーされた場合
- チャート上ではすでに条件が満たされたように見えるのに、アラートが遅れてトリガーされた場合
1) チャート上ではまだ条件が満たされていないように見えるのに、アラートがトリガーされた場合
以下のスクリーンショットは、リプレイモードで10:00からバー形成中のHLCとRSIの変化を捉えたものです。最初のスクリーンショットでは、このバーが形成される間のどこかでRSIの値が30を下回ったことが示されています(つまり、チャート上では30の水準で一度交差していたことになります)。
2枚目のスクリーンショットではこのバーが確定する瞬間に、RSIの値が30を上回ったことが示されています(チャート上では、さきほどの30の水準での交差がもはや見あたりません)。
たしかに、バーが確定する瞬間だけを見ればアラートはトリガーされないと思われるかもしれません。しかし、この場合は10:00からのバーが形成される過程でRSIが30と交差するという条件が満たされたので、アラートがトリガーされたということになります。
2) チャート上ではすでに条件が満たされたように見えるのに、アラートが遅れてトリガーされた場合
以下のスクリーンショットは、リプレイモードで02:00からのバー形成中に、HLCとBB(ボリンジャーバンド)のロワーバンドの変化を捉えたものです。また、BBのロワーバンドとバーのヒゲが交差した水準(価格68840に引かれた黒い点線)もあらかじめ示されています。
最初のスクリーンショットでは、バーの形成中に暫定の終値は価格水準68840を下回り、またインジケーターの値もこの暫定終値より下回っているため、バーとインジケーターは価格水準68840で交差していないことが示されています。
2枚目のスクリーンショットでは、最終的に終値が68840を上回ったことが示されています。そして、インジケーターの値も上昇し、この時点ではバーの安値は変化しないため(安値が更新されるのはバーの形成中だけです)、インジケーターとバーのヒゲが価格水準68840で交差したという結果になりました。
この交差が発生したのは価格が68840の水準まで下落した瞬間ではなく、インジケーターの値がこの水準まで上昇した瞬間であることに注意することが重要です。
たしかに、バーが確定した後ではもっと早く(つまり、価格が68840のレベルまで下落した瞬間)にアラートがトリガーされるはずだったと思われるかもしれません。しかし、このBTCUSDとBBのロワーバンドの交差を条件にしたアラートでは、バーの形成中、まさに価格とインジケーターの値の双方が上昇し始めた瞬間にアラートがトリガーされたということになります。