J&Jの鎧にひび割れ?長年にわたり世界的な医療業界のリーダーとして君臨してきたジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、将来の展望や株価評価に深刻な疑問を投げかける重大な課題に直面している。最も大きな問題は、タルクを含むベビーパウダーに端を発する大規模な訴訟だ。数万件に上る訴訟がこの製品と発がんリスクの関連を主張しており、J&Jは破産手続きを活用して責任を回避しようと試みた。しかし、この戦略は裁判所によって繰り返し却下され、最近では100億ドルの和解案も退けられた。その結果、J&Jは60,000件を超える個別訴訟に直面する可能性があり、膨大な財務的リスクや法的な費用、損害賠償の負担が急増している。
さらに懸念すべきは、J&Jの過去および最近のマーケティング手法に対する監視の目が厳しさを増している点だ。最近、連邦判事がJ&Jの製薬部門に対し、HIV治療薬に関する誤解を招くマーケティング行為を理由に16.4億ドルの罰金を命じた。この行為は「意図的かつ計算された計画」だったと指摘されている。また、過去にはJ&J傘下のデピュー(DePuy)社が、整形外科用インプラントの販売促進のために外科医に不適切な金銭的報酬を提供したとして、数百万ドルの和解金を支払った。さらにインドでは、「プロフェッショナル・スポンサーシップ」費用に関連する同様の活動が税務問題を引き起こしている。これらの事例は、J&Jが法的・倫理的な問題に繰り返し巻き込まれ、その結果として巨額の罰金や企業イメージの悪化に直面していることを浮き彫りにしている。
未解決のタルク訴訟、マーケティング違反による高額な罰金、倫理面での疑念が続く状況は、J&Jにとって深刻な逆風となっている。これらの法的闘争が積み重なることで生じる影響、将来の財務リスク、そして企業イメージの毀損は、J&Jの資源を枯渇させ、経営陣の焦点を本業から逸らし、投資家の信頼を揺るがす恐れがある。これらの要因が絡み合うことで、J&Jの株価に強い下押し圧力がかかる可能性が懸念されている。