日本製鉄は「緑の戦争」に勝利できるか?日本製鉄は今、国内メーカーからグローバルな総合素材メーカーへの抜本的な変革を実行する重要な岐路に立っている。「中長期経営計画2030」の下、グローバル粗鋼生産能力1億トン、実力ベース事業利益1兆円を目指している。しかし、この野心は巨大な障壁に直面している。141億ドル規模のUSスチール買収は、同盟国企業であるにもかかわらず米国内で超党派の反対に遭い、一方で宝鋼との20年にわたる合弁解消を含む中国からの戦略的撤退は、西側の安全保障枠組みへの決定的な「デリスキング(リスク低減)」シフトを示唆している。
同社の未来は、インドにおけるAM/NS India合弁事業を通じた積極的な拡大にかかっている。同事業は2030年までに生産能力を3倍の2,500万〜2,600万トンに増強し、インフラ需要と人口ボーナスを取り込む計画だ。同時に、日本製鉄はEVモーターに不可欠な電磁鋼板の知的財産権(IP)を武器に、主要顧客であるトヨタ自動車を提訴してまで独自技術を保護するという異例の戦略に出ている。「HILITECORE」や「NSafe-AUTOLite」といったブランドに代表されるこの技術的「堀」は、世界の自動車軽量化と電動化革命において、同社を不可欠なサプライヤーとして位置づけている。
しかし、存亡に関わる脅威も迫っている。脱炭素戦略「NSCarbolex」は、電炉への転換だけで8,680億円の巨額設備投資を要し、2050年までに未確立の水素直接還元技術への移行を迫られる。欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)は輸出への課税リスクを高め、石炭ベース資産の早期廃棄を強制する可能性がある。また、2025年3月の子会社NSSOLへのサイバー攻撃は、OT(運用技術)とITシステムの融合に伴うデジタル脆弱性を露呈した。日本製鉄は、保護された市場での成長、サプライチェーンの分断による安全保障、そして短期的支払能力を脅かす持続可能性への投資という、戦略的な「トリレンマ」に直面している。
Steel
SLX : VanEck Vectors Steel ETF'22/2/27 7:35
月足:上昇 RCI : -63.3
週足:上昇 RCI : 51.7
日足:上昇 RCI : -27.5
8h:上昇 RCI : -27.5
4h:上昇 RCI : 10.0
長期ではグリーンの上昇平行チャネル
中期ではスカイブルーの下降平行チャネル
短期ではオレンジの上昇平行チャネル
中期の下降チャネルを抜けて、強い上昇を開始したので、今後しばらく上昇トレンド入りしそう。
上昇トレンドが継続するなら、グリーンの平行チャネルをサポートラインに、レッドの平行チャネルのレジスタンスラインまでを目指すかどうか。
グリーンのサポートライン、もしくはイエローのサポートラインを下抜けたら、上昇トレンド目線は一旦終了。

