エンベロープ (ENV)

定義

移動平均エンベロープ (ENV) は、バンド型のインジケーターです。ENVは、基準線の上にアッパーエンベロープを表示し、基準線の下にロワーエンベロープを表示します。基準線は移動平均線で、単純移動平均または指数移動平均のいずれかです。エンベロープは、基準線からの距離を(ユーザー定義の)パーセンテージで設定します。エンベロープは、買われすぎや売られ過ぎの状態を識別するだけでなく、トレンドを特定する為の優れたインジケーターです。

計算

移動平均エンベロープ (ENV) の計算は、実際にはかなりシンプルです。この例では、20期間のSMAと10%のエンベロープを使用します:

基準 = 20期間SMA

アッパーエンベロープ = 20期間SMA + (20期間SMA x 0.1)

ロワーエンベロープ = 20期間SMA - (20期間SMA x 0.1)

基礎

移動平均エンベロープ (ENV) は、トレンドフォロー型のインジケーターです。移動平均は価格に対して遅延しますので、エンベロープも同様です。とはいえ、いずれかのエンベロープをブレイクする価格変動は見過ごされるべきではありません。ENVは、値動きの大部分がエンベロープ内で起こるように設計されています。したがって、価格がエンベロープをブレイクした場合、これは強さのサインであり、大きな価格変動を示す可能性があります。例えば(いずれかの方向への)強いトレンドで、アッパーエンベロープの上にブレイクした場合、上昇トレンドが強まっており、今後も継続する可能性があることを示しています。他の例としては、レンジの状態でアッパーエンベロープを上抜けた場合、買われすぎの状態を示している可能性があり、その後エンベロープ内で価格が下落する可能性があります。

多くのインジケーターと同様に、ENVを効率的かつ効果的に使用するためのコツは、正しいパラメータを使用することです。しかしこれが難しいところで、ほとんどの場合、それらは実験と経験によって導き出されます。過去の分析は、テクニカルアナリストが特定の銘柄の過去のレベルを発見する事にも役立ちます。もう一つのテクニックは、いくつかの移動平均エンベロープを互いに重ね合わせて、エンベロープのパーセンテージを変えて設定することです。これによりテクニカルアナリストが検討すべき追加の突破口を見つけることができる可能性があります。

利用目的

トレンドの確認

明確に定義された強いトレンドの間の買われすぎ/売られすぎゾーンへのブレイクスルーは、しばしば強さの兆候となります。これは、トレンド継続の可能性を確認するために使用することができます。

強気トレンドの間にアッパーエンベロープを上抜けた場合は、強さのサインとみなされ、上昇トレンドが継続する可能性が高いと考えられます。

弱気トレンドの間にロワーエンベロープを下回った場合は、強さのサインとなり、下降トレンドが継続する可能性が高いと考えられます。

買われすぎと売られすぎ

市場が乱高下している場合や横ばいで取引されている場合には、移動平均エンベロープは買われすぎや売られすぎの状態を識別するのに役立ちます。これらの条件は通常、価格が移動平均線に向かって戻る価格の修正につながる可能性があります。

サマリー

移動平均エンベロープ (ENV) は、非常にシンプルな前提にもかかわらず、実際には非常に効果的です。買われ過ぎや売られ過ぎの状態だけでなく、トレンドを識別できることは、インジケーターの貴重な特性であり、テクニカルアナリストを大いに助けることができます。パターン分析やモメンタムインジケーターなどの追加のテクニカル分析ツールと組み合わせることで、ENVは堅実なトレード戦略の不可欠な要素となります。

パラメーター

期間

アッパー/ロワーエンベロープの基準となるMAの計算に用いられる期間です(デフォルトは20です)。

パーセント

バンドに適用されるパーセンテージ。

ソース

各バーのどのデータを計算に使用するかを決定します。終値がデフォルトです。

指数

基準に単純移動平均または指数移動平均のどちらを使用するかを決定します。

スタイル
基準

基準の値を表示する基準線の可視性を切り換える事ができます。基準線の色や太さ、ラインの種類を選択する事も可能です。

上方

アッパーバンドの値を表示するラインの可視性を切り換える事ができます。アッパーバンドの色や太さ、ラインの種類を選択する事も可能です。

下方

ロワーバンドの値を表示するラインの可視性を切り換える事ができます。ロワーバンドの色や太さ、ラインの種類を選択する事も可能です。

背景

バンド内の背景の表示有無を切り換える事ができます。背景色と不透明度を変更する事も可能です。