ノウ・シュア・シング (KST)
定義
ノウ・シュア・シング (KST) はモメンタムベースのオシレーターです。KSTは変化率 (ROC) に基づきます。ノウ・シュア・シングは、異なる4つの期間のROCを単純移動平均を使用して平滑化し、最終的にKSTは、ゼロラインの上下をプラスとマイナスの間で変動する値を計算します。KSTライン自体のSMAであるシグナルラインもあります。基本的にノウ・シュア・シング・インジケーターは、4つの異なる価格サイクルのモメンタムを測定します。テクニカルアナリストは、この情報を利用して、ダイバージェンスや買われすぎ/売られすぎの状態、交差を特定します。
歴史
ノウ・シュア・シング (KST) は、マーティン・プリングによって開発され、1992年に「ストック&コモディティ」誌で紹介されました。彼は当初このインジケーターを「合計変化率 (SROC)」と読んでいました。
計算
この計算では、Tradingviewのデフォルトのパラメータである 10, 15, 20, 30, 10, 10, 15, 9 を使用しています。
- 最初の4つの数字 (10, 15, 20, 30) は、使用されるROCの期間を表しています。
- 次の4つの数字 (10, 10, 10, 15) は、対応するROC期間に適用されるSMAの期間です。
- 最後の数字 (9) は、シグナルラインの計算に使用されるSMA期間です。
したがってこの例では、まず各価格サイクルのROCMAを計算する必要があります。
ROCMA1 = 10期間ROCの10期間SMA
ROCMA2 = 15期間ROCの10期間SMA
ROCMA3 = 20期間ROCの10期間SMA
ROCMA4 = 30期間ROCの15期間SMAC
これですべてのROCMAが計算されましたので、KSTを計算することができます。
(ROCMA1 x 1) + (ROCMA2 x 2) + (ROCMA3 x 3) + (ROCMA4 x 4) = KST
最後にシグナルラインをKSTの9期間SMAとして計算します。
基礎
KSTは、4つの異なる期間の変化率 (ROC) を測定し、それらを移動平均を用いて平滑化して重み付けを行ってから、その結果を合計します。その意図は、特定の金融商品のモメンタムをよりよく理解することです。一般的なルールでは、KSTがプラスの場合はモメンタムは上昇、KSTがマイナスの場合はモメンタムは下降と判断され、これはそれぞれ強気相場と弱気相場を意味します。
注意すべき点としては、インジケーターのパラメーターで使用する期間はトレーダーの判断に委ねられているということです。プリングは、チャートの時間足を日足、週足、月足に切り換える際には、インジケーターのパラメーターもそれに応じて切り換える事を推奨しています。以下は一例です:
日足 (10, 15, 20, 30, 10, 10, 10, 15, 9)
週足 (10, 13, 15, 20, 10, 13, 15, 20, 9)
月足 (9, 12, 18, 24, 6, 6, 6, 9, 9)
利用目的
ダイバージェンス
ダイバージェンスは、価格変動がインジケーターの値からは確認できない場合に発生します。これは、根底にある現在のモメンタムが価格をサポートしておらず、反転の可能性があることを示しています。
強気のKSTダイバージェンスでは、価格が下落している際にKSTが上昇します。
弱気のKSTダイバージェンスでは、価格が上昇している際にKSTが下落します。
買われすぎ/売られすぎ
買われすぎと売られすぎの条件は、KSTで定義するのはやや難しいです。その理由は、他のモメンタムオシレーター(RSIなど)とは異なり、KSTは特定の値の範囲に縛られない為です。したがって、買われすぎと売られすぎのレベルを正しく定義するには、調査と実験が必要になります。これには過去分析が有効です。ほとんどの場合、KSTの買われすぎと売られすぎの状態はトレンドの確認に適していますが、必ずしも反転が起こるわけではありません。買われすぎは強気相場での、売られすぎは弱気相場での強さのサインである可能性があります。
交差
KSTの分析には、異なる2つのタイプの交差があります。ゼロラインの交差とシグナルラインの交差です。ゼロラインの交差は通常大きなラグがあり、常に信頼できるとは限りません。一方シグナルラインの交差は、根底のモメンタムの変化を示している可能性があります。
- KSTラインが依然としてマイナスであるけれども、シグナルラインを上に交差する場合、上方向のモメンタムが上昇しています。
- KSTラインが依然としてプラスあるけれども、シグナルラインを下に交差する場合、下方向のモメンタムが上昇しています。
サマリー
ノウ・シュア・シング (KST) は、他の多くのテクニカル分析インジケーターと同様に、長所と短所の両方があり、単独のシグナル生成システムとして使用すべきではありません。このインジケーターは、移動平均線を利用しているため、本質的にラグがあります。このため、ゼロラインの交差のような単純なシグナルは信頼性が低い可能性があります。しかし買われすぎや売られすぎの状態を利用する場合には、反転を予測するための方法としてではなく、トレンドの方向性を確認するための方法として、このインジケーターは依然として有効であると考えられます。またシグナルラインの交差も、値動きを予想するのに効果的であることが示されています。
パラメーター
ROC期間1
最初のROCの計算に使用される期間。
ROC期間2
2つ目のROCの計算に使用される期間。
ROC期間3
3つ目のROCの計算に使用される期間。
ROC期間4
4つ目のROCの計算に使用される期間。
SMA期間1
最初のROCのSMAの計算に使用される期間。
SMA期間2
2つ目のROCのSMAの計算に使用される期間。
SMA期間3
3つ目のROCのSMAの計算に使用される期間。
SMA期間4
4つ目のROCのSMAの計算に使用される期間。
シグナル期間
シグナルラインの計算に使用される期間。
スタイル
KST
KSTラインの値を表示するラインの可視性を切り換える事ができます。KSTラインの色や太さ、ビジュアルタイプ(デフォルトはラインです)を選択する事も可能です。
シグナル
シグナルラインの値を表示するラインの可視性を切り換える事ができます。シグナルラインの色や太さ、ビジュアルタイプ(デフォルトはラインです)を選択する事も可能です。
ゼロライン
ゼロラインの可視性を切り換える事ができます。ゼロラインの値や色、太さ、線種(デフォルトは破線です)を選択する事も可能です。
小数点以下の桁数
インジケーターの値を四捨五入して残す小数点以下の桁数を設定します。この数値が大きいほど、インジケーターの値の小数点以下の桁数が多くなります。