ベータ (Beta)

「ベータ」とは何ですか?

ベータは、市場全体の変化に対して、株やポートフォリオが示す感度を測定する指標です。ある特定の資産の値動きと、それよりも広い市場全体との関係を定量化するものです。ベータは、ある投資を行った場合にシステム上のリスクやボラティリティがどれだけあるかを、一般的にはS&P500などの指数をベンチマークとして比較する統計的な指標となっています。

ベータの係数は、その資産の過去のリターンをベンチマークとなる指数の過去のリターンに回帰させることで算出されます。

様々なベータ値がもつ意味については、以下のとおりです:

  1. ベータ=1: ベータが1の場合、その資産は市場に連動して動く傾向があることを示しています。市場がある一定の割合で上昇あるいは下降しているとすると、その資産の価格も同じ方向に同じ割合で動くと予想されます。
  2. ベータ>1: ベータが1より大きい場合、その資産のボラティリティは市場全体の動きよりも大きいか、もしくは市場の動きに敏感なことを示しています。市場がある一定の割合で上昇しているとすると、その資産の価格はそれよりも大きな割合で上昇すると予想されます。その逆もまた同様です。
  3. ベータ<1: ベータが1未満の場合、その資産のボラティリティは市場全体の動きよりも小さいか、もしくは市場の動きにそれほど敏感ではないことを示しています。市場がある一定の割合で上昇あるいは下降しているとすると、その資産の価格は同じ方向に動くと予想されますが、動きの割合はそれよりも低くなると予想されます。
  4. ベータ=0: ベータが0の場合、その資産と市場との間には相関関係がないことを示します。その資産の値動きは、市場から独立した動きになります。
  5. 負のベータ: ベータが負の場合、資産の価格が市場とは逆に動く傾向があることを意味します。市場が上昇すれば、資産の価格は下落し、その逆もまた同様です。この負のベータ値は、防御的で景気循環を抑制する特性をもった資産と関係するケースが多くあります。

ベータはリスクを評価するツールとして、投資家やポートフォリオ・マネージャー、アナリストに幅広く利用されています。投資家にとっては、市場に対する資産のボラティリティを把握することができるため、投資に関わる潜在的なリスクとリターンを知るうえでもこの指標は役立ちます。ベータ値が高い資産は一般的にはリスクが高いと考えられていますが、大きなリターンを得られる可能性が潜んでいることもあります。