ユーロ/米ドルのチャート (FX_IDC:EURUSD) の過去データが1971年まであるのはなぜですか?

1999年1月1日にユーロは通貨として現金以外の流通に導入され、3年後にはその紙幣と硬貨が登場しました。TradingViewでユーロ/米ドルの通貨ペアチャートを見ると過去データが1971年から始まっているので、このことを記憶しているユーザーの皆様に驚きを与えることがよくあります。しかし、ユーロは1979年から1998年の間に存在した欧州通貨単位 (ECU) を1:1の比率で置き換えたものなので、チャート上の過去データは正当で、完全に正確なものとなっています。このECUという名称は、 ”European Currency Unit(欧州通貨単位)” の頭文字と中世フランスの硬貨である ”ecu” に由来しています。

欧州単一通貨創設の試みはECUが初めてではありません。1958年の欧州経済共同体の結成に伴って、共同体の加盟各国は通貨の機能について特殊な体制を確立しました。この体制下では共同体の加盟国相互の間に強固な規律が確立され、それは国際通貨基金(IMF)の枠組みでその全加盟国に課せられたものより強いものでした。他のIMF加盟国が、対米ドル平価から自国通貨との乖離幅を±1%以内まで許容していたのに対し、共同体加盟6カ国の共通市場では自国通貨の変動を±0.75%以内に抑えることに合意していました。1971年12月18日、ワシントンで10カ国によるスミソニアン協定が締結され、多数の通貨がその名目値を変更しました。最も重要なことは、ここで通貨変動幅の上限がプラス/マイナス双方向ともに2.25%に引き上げられて最大変動幅(4.5%)が確保されたことです。これが通貨のトンネルとして知られるようになりました。

1972年にはバーゼルにおいて、欧州共同体加盟9カ国のうち6カ国が、固定平価(パリティ)からプラス/マイナス双方向への為替変動の限度を半分に抑える協定に調印しました。この協定は「トンネルの中の蛇(スネーク)」あるいは「ECS(European Currency Snakeの略称)」として知られるようになりました。1975年までのTradingViewチャートの過去データは、この協定に参加した国々の欧州通貨の変動によって構成されています。

1975年には、 ”European Unit of Account” の頭文字をとってEUAを略称とした「欧州会計単位」が創設されました。この単位は1978年まで使用され、冒頭で述べたECUに対して1:1の割合で置き換えられました。

つまり、欧州通貨の発展の歴史をまとめると、以下のようになります:

  • 1999年~現在 - ユーロ
  • 1979年~1998年 - ECU(欧州通貨単位)
  • 1975年~1978年 - EUA(欧州会計単位)
  • 1971年~1974年 - ECS(スネーク)