累積出来高デルタ (Cumulative Volume Delta)

「累積出来高デルタ (CVD)」は、バー内の出来高と価格の変動を使って各チャートバー内の買い圧力と売り圧力の差(デルタ)を推定し、その推定値を指定期間で累積したものです。これによって、出来高と値動きの関係を広い視野から眺めることができます。

このインジケーターは、バー内の時間足(つまり、チャートより下位の時間足)から各チャートバーを分析して、各バー内の出来高をプラス/マイナスに分類します。次に、分類された出来高の値を1本のチャートバーの形成中に徐々に累積していくことによって出来高デルタを計算します。そして、バー形成中に達した出来高デルタの最高値と最低値を記録します。

「出来高デルタ」との相違点は、「出来高デルタ」がチャートバー1本毎のデルタ値を個別に推定するのに対し、「累積出来高デルタ」ではより広い視野を得るために期間中のデルタ値を累積するという点です。バーが新しく出現するたびに、新しいバーのデルタ値が前のバーまでで計算されてきた累積値に加算されます。期間が新しく改まった時に限り、累積値の計算がリセットされます。

1本のバーについて以上のような分析を行った後に、その結果を表すローソク足をプロットします:

  • ローソク足の始値がそのバーの計算開始点になります。期間中最初に出現したバーの場合、ローソク足の始値は常に0です。その他の場合では、前のCVDのローソク足の終値が次のローソク足の始値になります。
  • ローソク足の終値は、そのバーの最終的な出来高デルタ値と期間内に存在する以前のバーまでに累積された出来高デルタ値との合計を示しています。
  • 高値は、バー形成中に計算された累積出来高デルタの最高値を示しています。
  • 安値は、バー形成中に計算された累積出来高デルタの最低値を示しています。

計算

「累積出来高デルタ」は、各チャートバー内の下位時間足の出来高と値動きをスキャンして、出来高デルタ値を計算・累積します。これを行うには、まず分析するバー内の時間足を決定する必要があります。

下位時間足を手動で指定することも、インジケーターに決定させることもできます。デフォルトではチャートの時間足をもとにして下位時間足が自動的に選択されますが、その際には次のルールを使用します:

チャートの時間足

計算に使用する時間足

1秒

分または時間

1分

5分

その他

60分


バー内の時間足を手動で選択する場合に、小さな時間足を選択すると、チャートバーのカバー範囲が狭くなる代わりに精度を高めることができます。大きな時間足を選択すると、過去データの数は増えますが出来高デルタ値の精度は低くなります。

時間足が選択されると、インジケーターは利用可能な範囲のバー内で方向の分析と出来高の分類を行い、各バーのデルタを計算します。

バー内の始値が終値と等しくない場合:

  • 終値が始値を上回る場合、バー内の出来高をプラスとみなし、その値をチャートバーの合計に加えます。
  • 終値が始値を下回る場合、バー内の出来高をマイナスとみなし、その値をチャートバーの合計から差し引きます。

バー内の始値と終値が等しい場合:

  • 終値が前のバーの終値を上回る場合、バー内の出来高をプラスとみなし、その値をチャートバーの合計に加えます。
  • 終値が前のバーの終値を下回る場合、バー内の出来高をマイナスとみなし、その値をチャートバーの合計から差し引きます。
  • 終値が前のバー内の終値と等しい場合、前のバー内のプラス/マイナスの状態を現在のバー内に割り当てます。

バーの出来高デルタ値が計算されるとそのデルタ値が現在の期間を通じた合計に加算され、最終的にそのバーの累積出来高デルタ値として始値・高値・安値・終値が計算されます。期間が新しく改まるたびに、期間中の合計は0にリセットされます。

パラメーター

ベース期間 (Anchor period)

計算期間の長さを指定します。期間が新しく改まると、そのたびに出来高デルタ値の累積がリセットされ、CVDのローソク足は0からスタートします。期間中は、各バーの出来高デルタ値が期間を通じた合計に加算されるため、現在のCVDのローソク足の始値は前のローソク足の終値に等しくなります。

カスタムの時間足を使用 (Use custom timeframe)

下位時間足を手動で選択するかどうかを決定します。チェックが外れている場合(デフォルト)は自動的に時間足が選択されます。チェックを入れた場合、次の「時間足」の入力項目で指定した時間足が使用されます。

時間足

「カスタムの時間足を使用 (Use custom timeframe)」が有効な場合に、出来高デルタの計算に使用するバー内の時間足を指定します。大きな時間足では精度が低下しますが、過去データの数は多くなります。小さな時間足では、チャートバーのカバー範囲が狭くなりますが、精度は高くなります。