インフレ連動(防衛)
インフレ連動(防衛)という特徴を持つ社債には、インフレ率の変動に応じて債券の利払いや元本を調整するものがあります。通常、インフレへの防衛策を備えた社債は、クーポンの支払額あるいは元本を消費者物価指数 (CPI) などのインフレ指数に連動させています。
こうした調整を行うことで、インフレ率が上昇した場合でも債券保有者の投資について購買力を維持することができます。インフレへの防衛策を備えた債券はインフレによる実質リターンの低下に対するヘッジになります。
このような債券はインフレの変化に応じて債券のクーポン支払額や元本が調整されるので、投資家の資金においてはその購買力を維持するのに役立ちます。とりわけインフレが進行した際には、従来の債券投資では実質リターンが減少する可能性があるため、こうした債券の価値が上がる場合があります。
クーポン引上げ
クーポン引上げを特徴とする社債では、インフレ率や基準金利など、指定されたベンチマークの変動に基づいてクーポンレートが定期的に調整されます。クーポン引上げのメカニズムから、ベンチマークの変動に応じて債券の利払いが増減するため、投資家はインフレや金利変動に対して予めヘッジを得ることができます。この調整によって、債券の利払い額についても競争力が維持され、市場の実勢を反映したものになります。
元本引上げ
一方、元本引上げを特徴とする社債では、クーポンの支払いではなく債券の元本の価値を調整します。元本の増額が条項で定められている債券では、その額面金額あるいは償還金額がインフレ率や参照指数など指定されたベンチマークの変動に基づいて定期的に調整されます。この元本増額の条項は、インフレの進行による購買力低下から債券保有者の投資を保護し、経済状況の変化と足並みが揃うように債券の価値を保証するものになっています。
連動(防衛)なし
連動(防衛)がない債券には、クーポン/元本引上げというような特徴を持つ債券のようにインフレへの防衛策はありませんが、それでも予測可能な安定した収入源を求める投資家にとっては魅力的な債券になり得ます。通常、これらの債券ではインフレに対する調整メカニズムがないことを反映して、インフレ防衛債(インフレ連動債)に比べて高い利回りが提供されているからです。