トレードセッション (Trading Sessions)

「トレードセッション」は、取引セッションをチャート上にカスタムで強調表示できるインジケーターです。このインジケーターは各取引セッションを色つきのボックスで表示します。指定されたタイムゾーンのセッション内に出現したバーがすべてこの色付きのボックスで囲われます。各取引セッションについては最大3つまでカスタマイズ可能で、それぞれの開始/終了時刻とタイムゾーンを設定できます。デフォルトでは、広く使用されているアジア/ヨーロッパ/北米のセッション (東京/ロンドン/ニューヨーク) が表示される設定になっています。

タイムゾーンが異なるマーケットを横断して取引される資産は、そのタイミングによって出来高やボラティリティが急激に変化する場合があります。「トレードセッション」を使用すると各マーケットごとの開始/終了時刻を目で追うことができます。

なお、この「トレードセッション」が利用できるのは日中の時間足に限ります。

パラメーター

インジケーターのパラメーター設定で取引セッションのタイミングを定義します。また、各セッションで価格情報を表示するオプションも設定できます。

全体の設定

インジケーターの「パラメーター」タブの上部に、3つの取引セッションすべてを対象とする全体的な設定を行うチェックボックスが4個設けられています。これらの設定により、各セッションで表示するテキスト情報と追加する描画を決めることができます:

  • 「セッション名を表示」: 各セッションボックスに付けるラベルとして、後述の「表示名」項目で設定したテキストを表示します。
  • 「セッションの始値/終値のラインを表示」: 各セッションボックス内に、セッションの始値と終値(最初のバーの始値と最後のバーの終値)を示す2本の破線を追加で表示します。
  • 「各セッションのティックレンジを表示」: セッション内の最高値と最安値の間のティック数を計算し、そのレンジの値をセッションボックス下部のラベルに表示します。
  • 「各セッションの平均価格を表示」: セッション内のすべてバーについて終値の平均を計算し、セッションボックス下部のラベルに表示します。また、セッションボックス内にその平均価格を示す点線を引きます。

各セッションの設定

以下の入力項目では、各取引セッションの設定を定義します。「セッション1」、「セッション2」、「セッション3」のいずれも入力項目の設定内容はすべて同一です。

セッションを表示

該当の取引セッションを表示するかどうかを指定します。チェックを外すと、そのセッションはチャートに表示されません。

表示名

セッションの名前を指定します。デフォルトではセッションのデフォルトのタイムゾーンに対応した名前が付いていますが、任意のテキストを入力してセッションのラベル名にすることができます。

前述の「セッション名を表示する」チェックボックスがオンになっている場合にかぎり、このセッション名がチャート上の各セッションボックス下部に表示されます。オフになっている場合、そのセッション名はチャートに表示されません。

セッションの時間

セッションの開始/終了時刻を指定します。入力項目のドロップダウンリストには15分間隔で時刻のオプションが表示されます。これらの間隔以外の時刻を使用するには、入力フィールドで「分」の値を選択してお好みの数値を入力します。

セッションの終了時刻が開始時刻より早い場合、インジケーターはそのセッションをオーバーナイトセッションとみなします。たとえば、セッションの時間を「10:00-09:00」と設定した場合は、1日目の午前10時から2日目の午前9時までのバーを強調表示します。

セッションのタイムゾーン

セッションの開始/終了時刻の基準となるタイムゾーンを指定します。

セッションのタイムゾーンには次の2つの形式があります:

  • 「GMT (またはUTC) 表記」では「グリニッジ標準時」または「協定世界時」からのオフセット(時差)を数値で表します(たとえば、"GMT-5"、 "GMT+0630"、 "UTC+11" など)。
  • 「IANAデータベースの表記」では各地域を表す識別子を使用します(たとえば、"America/New_York"、 "Asia/Tokyo"、"Europe/Paris" など)。使用可能なタイムゾーンの識別子、およびGMTからのオフセットの一覧については、「IANAタイムゾーンデータベース(英語版)」のリファレンスページをご覧ください。

タイムゾーンのフィールドが空欄の場合、現在チャート上で開いているシンボルを扱っている取引所のIANAタイムゾーンを使用します。

セッションの色

セッションボックス、およびセッションに関連した情報を表示するテキストやライン(セッション名、平均価格ラインなど)の色と不透明度を設定します。

タイムゾーンの変更における両表記間の比較

セッションのタイムゾーンを指定する際には、固定の「GMT表記」を使うよりも「IANA表記」を使うのがより堅実と言えます。夏時間(サマータイム)への切り替えが毎年起こる地域など、その地域固有の時間ポリシーを自動的に調整したり、また、過去や将来においてタイムゾーンの境界に変更が生じた際にもそれらを考慮に入れることができるという点で、ほとんどの場合において「IANA表記」の使用が推奨されます。

これを確かめるために "BINANCE:BTCUSD" のチャートを開いてみましょう。このシンボルの取引所では、年間を通じて固定のGMT(0)のタイムゾーンが使用されています。ここで「トレードセッション」 を使用して、ニューヨークの典型的な取引時間帯である "09:30–16:00" を2種類のセッションで表示して比較してみます: 1つ目のセッションはタイムゾーンとして "GMT-4" を使用しており、そのセッションのバーを青色のボックスで強調表示しています。2つ目のセッションはタイムゾーンとして "America/New_York" の表記を使い、そのセッションのバーを黄色のボックスで強調表示しています。

両セッションは同じ地域のタイムゾーンで同じ時間帯を表すものなので、セッションボックスは常に完全に一致するはずです。ところが、この2つのセッションボックス間には定期的にズレが生じます。

夏時間(サマータイム)中であれば "GMT" と "IANA" の両取引セッションは正確に重なります。しかし、それ以外の期間では、ニューヨークの現地時間が夏時間のGMT-4からGMT-5に切り替わるため、2つのセッションの間に1時間の時差が生じます。 "America/New_York" の表記においてはこのタイムゾーンの変更が自動的に調整されますが、"GMT-4" の表記ではこの1時間の時差がそのまま残ります。

その結果、 "America/New_York" の表記を使用すれば常にその地域の現地時間で "09:30–16:00" のセッションが正しく強調表示されるのに対し、"GMT-4" の表記を使用すると夏時間の期間でしかセッションが正しく強調表示されないことになります。同様に、"GMT-5" のタイムゾーンを使用すると夏時間以外の期間ではセッションが正しく強調表示されますが、夏時間の期間では1時間ずれることになります。

以上のように、タイムゾーンが変更される地域では「IANAタイムゾーン表記」を使用すると1年中いつでもその地域のタイムゾーンを正確に表すことができるので、GMTのオフセット(時差)を手動で調整する手間を省くことができます。