S&Pの発行体格付け

S&Pの発行体格付けとは何ですか?

スタンダード・アンド・プアーズ (S&P) が提供する発行体格付けは、発行体が債務を期日通りに履行できるかどうかを測るものです。格付けには主に下記の2種類があります:

長期格付け — 発行体の1年超の金融債務履行能力を分析します。発行体の長期格付けが高ければ、それだけその発行体の財務状況が良好で債務不履行の可能性も低いことが示されるため、長期投資家にとって魅力的なものになります。

短期格付け — 発行体が今後1年以内の債務をカバーする能力を評価します。短期格付けは現時点での企業の流動性や経営の安定性を評価する上で重要であり、債権者や市場参加者が短期投資のリスクを判断するのに役立つものです。

S&Pの格付けが重要なのはなぜですか?

S&Pの信用格付けは、発行体の債券に投資する際のリスク評価に役立ちます。発行体の格付けが高ければ、借入コストを下げて信用条件を改善することができるため、その発行体に対する投資の魅力が高まります。格付けが低ければ資本コストが上昇し、その分リスクが高いことが示されます。いずれにしても、投資判断を行うにおいて不可欠な情報になります。

長期格付け:

投資適格格付け:

  • AAA — 金融債務の履行能力が極めて高い。最上位の格付け。
  • AA+, AA, AA- — 金融債務の履行能力が非常に高い。
  • A+, A, A- — 金融債務の履行能力は高いが、事業環境や経済状況の悪化による影響をやや受けやすい。
  • BBB+, BBB, BBB- — 金融債務の履行能力は十分だが、経済状況の悪化による影響を受けやすい。市場参加者による投資適格格付けとしてはBBB-が最低の格付け。

投機的格付け:

  • BB+ — 市場参加者による投機的格付けとしては最上位の格付け。
  • BB — 短期的にはこれより低い格付けの債務者ほど脆弱ではないが、継続的に高い不確実性に直面している。
  • B+, B, B- — 事業環境の悪化に対してより脆弱ではあるものの、金融債務の履行能力はある。
  • CCC+, CCC, CCC-, CC, C — 良好な事業環境に依存しながら債務を履行しているため脆弱である。Cは破産申立てまたは同様の措置がとられたものの、債務の支払いは継続していることを示す。
  • D — 債務不履行 (Default)。
  • NR — 格付けなし。

短期格付け:

  • A-1+ — 最上位の格付け。金融債務の履行能力が極めて高い。
  • A-1 — 金融債務の履行能力が高い。
  • A-2 — 事業環境や経済状況の悪化による影響をやや受けやすいが、金融債務の履行能力は十分である。
  • A-3 — 債務履行能力は適切だが、事業環境や経済状況の悪化によってそれが低下する可能性が大きい。
  • B-1, B, B-2, B-3 — 脆弱で投機的な特徴が強い。不確実性が高く、債務履行能力が不十分になる可能性がある。
  • C — 良好な事業環境に依存しており、不払いに脆弱である。
  • SD — 選択的債務不履行 (Selective Default)。
  • NR — 格付けなし。