S&Pの格付けアウトルック
S&Pアウトルックとは何ですか?
S&Pアウトルックとは、スタンダード・アンド・プアーズ (S&P) が中期的(通常6ヶ月から2年)な視野に立って、債券やその発行体の長期的な信用格付けがどのように変化するかについての見通しを示したものです。アウトルックは格付けそのものではなく、現在の経済・金融情勢をもとにした格付けの変化の可能性を示す指標としての役割を担っています。
S&Pアウトルックが重要なのはなぜですか?
S&Pアウトルックは格付けが実際に調整される前の早い段階で、信用力変化の予兆になる重要なシグナルを投資家に提供します。現在の経済・財務データに基づいて投資リスクを評価する際に重要なツールになります。
アウトルックには以下の2種類があります:
S&Pアウトルック
S&Pアウトルックは債券を対象としており、ある債券の信用力 (S&Pの格付け) についてS&P自身による予想を反映したものです。投資家はこの予想を利用して、投資対象としての魅力を左右する格付けが今後どう変化するかについての見極めができるようになります。
S&P発行体格付アウトルック
S&P発行体格付アウトルックは、(S&Pの発行体格付けの対象になる) 企業やその他法人の財務の安定性を総合的にカバーしたものです。投資家はこの予想を利用して、発行体の総合的な信用力や債務履行能力に影響を及ぼす発行体格付が今後どう変化するかについての見極めができるようになります。
予想に用いられる文言:
- ポジティブ
- ネガティブ
- 安定的
- 方向性不確定
- 格付けの意義なし
- 現在格付けなし
- 過去格付けなし
ポジティブ
発行体の財務状況および債務履行能力の改善が示唆されており、格付けが引き上げられる可能性を示します。
ネガティブ
格下げの可能性を示唆する財務状況の悪化や脆弱性の増大が見られることから、格付けが引き下げられる可能性を示します。
安定的
安定した財務・経済状況を示しており、当面は格付け変更の可能性が低いことを意味します。
方向性不確定
格付けを上下させる状況が続いているため、格付けの方向性に不確定要素が存在していることを示します。
格付けの意義なし
この文言が使用されるのは稀ですが、ある特定の条件によってアウトルックの提供が有益ではないとみなされていることを意味します。
現在格付けなし
現時点でアウトルックが与えられていない場合に使用されます。
過去格付けなし
その事業体または債務がこれまで一度も格付けされたことがない場合に使用されます。