分析: シャープレシオ
定義:
シャープレシオは、ノーベル賞を受賞したウィリアム・シャープによって1996年に考案された、リスクに対する投資の効率性を測る指標です。1ユニットあたりのリスク(ボラティリティ)に対して、ポートフォリオはどのくらいの(リスクフリーレートを上回る)リターンが得られるかを示しています。
解釈:
ベンチマークとポートフォリオの値を比較して、それらのリスク水準を評価します。値が0に近いほど、リスクに見合ったリターンが得られていないことを示しています。
例:
ポートフォリオ:
- リスクフリーレート (RFR) = 2%
- 2025-01-01 入金 1000
- 2025-03-03 NASDAQ:AAPLを購入(数量:1、約定価格: 190、手数料: 0)
- 2025-04-11 シャープレシオの計算日。AAPLの最終価格 = 198.15
ポートフォリオのシャープレシオ 0.029%:
- リスクフリーレート(年間2%)をわずかに上回っている状態
- リターンがリスクにほぼ見合っていない状態
ベンチマークのシャープレシオ -1.396%:
- リターンはマイナスで、リスクの許容範囲を超えている状態
注: 上記の例では、計算を簡略化するために短期間のデータを使用しています。
一般的に、シャープレシオが1を上回ると適切な水準とされており、リスクに見合ったリターンが得られると判断されます。
ポートフォリオのシャープレシオを評価する時は、こうした一般的な基準値やベンチマークと比較することができます。
計算式:
シャープレシオ = (Rp − RFR) / SD
- Rp (ポートフォリオのリターン) — ポートフォリオのパフォーマンス%です。時間加重収益率 (TWR) 方式に基づいて、対象期間の月次パフォーマンスを算出します。
- RFR (リスクフリーレート) — ポートフォリオの設定で指定したリスクフリーレートを使用します。設定では年間のレートに設定されている為、ここでは対象期間に応じて変換したレートを使用します。
- SD (ポートフォリオリターンの標準偏差) — 対象期間におけるすべてのパフォーマンスの標準偏差です。
上記ポートフォリオに基づくシャープレシオの計算例:
- 月次 RFR 計算式: 2 / 12 = 0.167%
- Rp 計算式: 各期間のパフォーマンス:
- 1月: 0
- 2月: 0
- 3月: 3.2% (3/31時点での値に基づく計算式: ((1032.13 − 1000) / 1000) * 100 )
- 4月: -2.3% (計算式: ((1008.15 − 1032.13) / 1032.13) * 100 )
Rp = (0 + 0 + 3.2 − 2.3) / 4 = 0.225
- SD 計算式:
平均からの偏差の2乗:
- 1月: (0 − 0.225)² = 0.05
- 2月: (0 − 0.225)² = 0.05
- 3月: (3.2 − 0.225)² = 8.85
- 4月: (−2.3 − 0.225)² = 6.37
分散: (0.05 + 0.05 + 8.85 + 6.37) / 4 = 3.83
SD: √3.83 = 1.957%
シャープレシオの計算式: SR = (Rp − RFR) / SD = (0.225 − 0.167) / 1.957 = 0.029%
Pineスクリプトの見本:
//@version=6
indicator("Sharpe Ratio example")
sharpeRatio( array<float> returnsArray, series float annualBenchmark) =>
numberOfperiods = 12
if barstate.islast
float fixedPeriodReturn = annualBenchmark / numberOfperiods
float standardDev = returnsArray.stdev()
float avgReturn = returnsArray.avg()
float result = (avgReturn - fixedPeriodReturn) / standardDev
array<float> arr = array.from(0,0,3.2, -2.3)
float sharpe = sharpeRatio(arr,2)
plot(sharpe, precision = 3)
注:
もしすべての取引がシャープレシオの計算対象となる月に行われた場合、まだ1ヶ月分のデータが揃っていないため、シャープレシオは計算されません。
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