ファンダメンタルグラフ : 財務指標のチャート化
ファンダメンタルグラフを使うと、財務指標から複数の上場企業やファンドを比較できます。現在のトレンドが今後も継続するのか、それとも方向転換するのか ― その根本的な理由がこのツールによって明らかになります。
目次:
ファンダメンタルグラフとは
ファンダメンタルグラフは、企業が市場で適正に評価されているかや、将来的な可能性を秘めているかを見極めることができるファンダメンタル分析のツールです。このタイプの分析は、企業株や投資ファンドなど様々な資産に適用できます。
いずれの資産クラスとも、企業報告書やファンドレポートを分析することでその評価や可能性について検証することができます。弊社ではこれらのデータを収集し、一つのチャートで可視化できるようにしました。
株式については財務諸表からデータを収集します。これらは企業評価を左右する内部要因を理解する上で主要となる情報源です。
ファンドについては、純資産価値 (NAV) に関する報告書やファクトシートなど主要指標を含む公開データを利用します。
財務指標とは
財務指標とは、企業が目標達成を目指す中でどれだけの成果を上げているかを示すものです。どんな企業も長期的な目標を設定して、商品の生産や顧客へのサービス提供を通じてその達成を目指しています。
貸借対照表(バランスシート)は資産・負債・資本金などを記載した重要な事業報告書です。子会社の業績は親会社の貸借対照表に連結され、企業全体の方向性や戦略について広い視点で俯瞰することができます。これは総資産、自己資本利益率 (ROE)、EBITDAマージンなどの指標に直接影響します。
たとえば、Meta社が掲げる広範な使命として「人々にコミュニティ構築の力を与え、世界との距離をより近づけること」があります。これを実現するために、同社はソーシャルプラットフォームを開発したり、新たなデバイスやソフトウェアを導入しています。もし仮にMetaが砕石を生産する事業を買収したとすれば、この行為は先に述べた使命との整合性はほとんどないことになります。これを見た一部の投資家は、同社が中核に据える戦略から逸脱したと考えて株式を売却することもあり得ます。もちろん、こうした事例にも例外は存在します。
これは財務諸表の分析結果から投資家や株主に示される情報の一つではありますが、それでもほんの一例に過ぎません。
ファンダメンタルグラフを活用すると様々な指標や比率を可視化できるので、企業の財務健全性を評価したり、企業の将来性について深く理解することができます。
ファンダメンタルグラフの使い方
ファンダメンタルグラフにアクセスするには「プロダクト」のドロップダウンメニューにカーソルを合わせて「ファンダメンタルグラフ」を選択してください。

分析したいシンボルを選んで、指標を選択するだけで利用できます。
TradingViewのプラットフォームで利用できるシンボルであればすべてこのグラフに追加することができ、様々な指標の間で比較が可能です。ただし、すべてのシンボルと指標がこの分析に適しているとは限りません。
たとえば、金利はTradingView上のシンボルであると同時に金融指標でもあります。企業の財務諸表から導出されたものではないため、企業決算に基づくファンダメンタル指標は適用されません。失業率、GDP、インフレ率などの指標も同様です。
しかし、必要に応じて、このような経済データを企業データと並べて比較表示することもできます。
「コンテンツ表示設定」メニューでは、チャート情報の表示方法を以下から選択できます:
- 全シンボル − 全指標: 選択した全シンボルについてすべての指標を表示します。
- 1シンボル − 全指標: 選択した1シンボルについてすべての指標にフォーカスします。
- 1指標 − 全シンボル: 選択した1指標について複数のシンボルを比較します。
「+ 追加」ボタンを押すだけで、新しい銘柄や指標を追加できます。
「価格チャートを表示」をクリックすると価格表示が有効になり、選択した指標と並行して株価やレートを重ねて表示できます。
グラフのスケール
スーパーチャートと同様に、4種類のスケールを使い分けることができます:
- 通常: 線形スケールです。価格の絶対値の変動を使用します。$10と$20間の距離は、$10,000と$10,010間の距離と同じです。
- 対数スケール: 指数関数的スケールです。変化率(パーセント値)を使用します。 $10から$20までの変動 (100%) が、$10,000から$10,010 (0.1%) までの変動よりもはるかに大きく見えます。
- パーセント: 起点に対する変化率を示す線形スケールです。
- 100基準: 最初の値を基準となる100として設定し、以降の値について、この基準値からどれだけ変化したかをパーセント値で反映したものです。一見無関係な数値を比較する際に活用できるアイデアです。

チャート画面下部で、指標を比較する際の時間軸を以下から選択できます:
- 1年
- 3年
- 5年
- 10年
- 全期間
ファンダメンタルグラフと他のツール
ファンダメンタルグラフはそれだけでも詳細な分析ができるパワフルなツールですが、他と組み合わせるとさらに深い分析ができます。たとえば、株式スクリーナーで様々な銘柄を閲覧したり、ニュースセクションで最新の市場動向を把握することができます。
画面右側のツールバーから「プロダクト」をクリックすると、他のTradingViewツールにアクセスできます。たとえば、債券をトレードするならイールドカーブを調べて、国債利回りと企業の指標間にある相関関係を探ってみましょう。

まとめ
ファンダメンタルグラフは財務データをチャートに変換して表示するツールであり、複数の資産を並べて同時に比較することができます。時系列で変化を追跡したい財務指標を選択すればよいだけの簡単操作です。
収益率、成長指標、事業価値マルチプル ― いずれを分析する場合でも、ファンダメンタルグラフを使えば競合他社を上回る企業を簡単に見分けられ、隠れた投資チャンスを見極めることができます。
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