シャンデリア・エグジット (Chandelier)
シャンデリア・エグジットは、チャールズ・ル・ボーが考案し、アレクサンダー・エルダーが広めたボラティリティをベースとしたインジケーターで、一定期間の最高値・最安値とATR (アベレージ・トゥルー・レンジ)に基づき、ストップロスの決済ポイントを特定します。明確なトレンド転換が予兆されるまで、トレンドフォロー中のポジションを維持することを目的としています。
トレーダーは通常、シャンデリア・エグジットをストップロスを設定する際の目安として利用し、早すぎる決済を防ぎます。また、他のインジケーターによるシグナルのトレンドフィルターとして利用することもあります。

計算
シャンデリア・エグジットでは、指定した期間の最高値と最安値を特定し、そこからATRにかけた乗数分、加算・減算して、ロングトレードとショートトレードに対する2つのストップレベルを計算します。各エグジットレベルの計算式は以下の通りです:
ロング・エグジット = 最高値 - ATR × 乗数ショート・エグジット = 最安値 + ATR × 乗数各定義:
- 最高値と最安値は、指定した過去期間の最高値と最安値
- ATRは、指定した期間のATR
- 乗数は、ストップレベルを最高値や最安値からどのくらい離すかを指定するスケール係数
算出されたレべルは、ボラティリティや指定期間の最高値・最安値に応じて、拡大・縮小しながら一定距離を保って市場価格に追随します。
ロング・エグジットレベルの値(青ライン)は、以下いずれかが起きると増えます:
- 最高値の上昇幅が、ATRの上昇幅より大きい場合
- ATRの下落幅が、最高値の下落幅より大きい場合
ショート・エグジットレベルの値(オレンジライン)は、以下いずれかが起きると減少します:
- 最安値の下落幅が、ATRの上昇幅より大きい場合
- ATRの下落幅が、最安値の上昇幅より大きい場合
シャンデリア・エグジットの目的は、トレンドが発生した後、目立つ価格転換をベースに、適切な決済ポイントを特定することです:
- 市場価格がロング・エグジットレベルを下抜けた場合、上昇トレンドの終わりを示唆し、ロングポジションの決済ポイントのサインになります
- 市場価格がショート・エグジットレベルを上抜けた場合、下降トレンドの終わりを示唆し、ショートポジションの決済ポイントのサインになります
このインジケーターは本来、決済ポイントを見つけるために使用されますが、トレンドの把握や売買シグナルのフィルタリングに利用するトレーダーもいます。市場価格がこれらのレベルを上回る、またはその上を維持している場合は、強い上昇トレンド、下回る・その下を維持している場合は、下降トレンドの判断材料になります。
パラメーター

期間
ロング・ショートのエグジットレベルの最高値・最安値を何本分のバー遡って探すかを指定します。
ATRの期間
ロング・ショート両方のエグジットレベルを計算するためのATR平滑化の期間を指定します。期間が短いほど、価格の急な変動に素早く反応します。期間が長いほど、長期的なボラティリティに反応します。
ATRの乗数 (ATR multiplier)
ロング・ショート両方のエグジットレベルに対するATRのスケール係数で、最高値・最安値からどのくらい離すかを指定します。値が小さいほど、レベルは最高値・最安値により近い位置で追随します。値が大きいほど、最高値・最安値とエグジットレベルの距離が大きくなります。
時間足
インジケーターの計算に利用する時間足を指定します。下にある「時間足の確定を待つ」にチェックした場合、指定した時間足のバーが確定した時のみ、その結果が表示されます。詳細はこちらをご覧ください: マルチタイムフレーム分析の活用