相場への関心を無くさないために ー 相場サイクルと投資家心理を理解する

相場に関するネガティブなニュースが続いていますね。

米国株のみならず欧州株や仮想通貨までも売られ、どのアセットも幅広く全般的に売られています。
米国に関しては経済指標の弱さも現れ始め、かねてから言われていたリセッション懸念が再び高まっている状況です。
このようなネガティブな状況が続いている中で、相場への関心が薄れている方もいるかと思います。
ですが、いつ来るかわからない次の上昇相場にうまく乗るためには、相場への関心を失わないことが重要です。

今回の投稿では、相場のアップダウンというサイクルとともに変化する投資家心理について、ウォールストリートチートシートを元に紹介したいと思います。


ウォールストリート・チートシートとは?
相場には一定の期間で上昇と下降を繰り返すサイクルが存在するというのはよく知られている特徴だと思います。
ウォールストリート・チートシートとは、このサイクルの過程で投資家心理がどのように変化するのかを表したダイアグラムです。

これを見ると、上昇相場の入り口付近では、果たして本当に上昇するのかという不信感(Disbelief)から始まり、相場が回復するかもしれない期待(Hope)という感情に変わり、上昇相場のピークでは陶酔感(Euphoria)に浸り、それが一転して下降相場になると不安やパニック、怒りといったネガティブな感情に変わる様子が表現されています。


僭越ですが拙訳を以下に記載します。
皆さんも過去の相場局面で似たような感情を抱いた経験がないか確認してみると面白いと思います。


Disbelief(不信)
この上昇もこれまでと同じように失敗に終わるだろう。

Hope(期待)
相場が回復するかもしれない。

Optimism(楽観)
この上昇は本物だ。

Belief(確信)
全力投資する時が来た。

Thrill(興奮)
証拠金目一杯買ってやろう!皆んなにも買いを勧めよう。

Euphoria(陶酔)
俺は投資の天才だ!

Complacency(自己満足)
次の上昇まで少し頭を冷やさないとな。

Anxiety(不安)
今回の押し目は普段より時間がかかるのかもしれないな。

Denial(否定)
私は優良企業に投資してるんだ。いずれ反発するさ。

Panic(パニック)
畜生!みんな売ってるじゃないか。俺も逃げなければ!

Capitulation(降伏)
100%退場だ。資金は完全に底をついた。

Anger(怒り)
一体誰が売ってるんだ。なぜ政府は何も対応しない?

Depression(意気消沈)
私の老後資金は全て消えた。今後どうやってやりくりしたらいいんだ?



ビットコインの2017年相場との類似性
これは比較的よく知られた話ですが、2017年の仮想通貨バブル前後のビットコイン相場がこのチートシートに酷似しています。

スナップショット


当時のビットコインも2017年末にピークをつけた後80%近く下落し、その後も停滞が続きました。
チートシートの下落局面終盤に非常に良く似ています。
僕自身もそうでしたが、この停滞期間には仮想通貨への関心が薄れていた人も多かったのではないでしょうか。


チートシートに描かれたAngerやDepressionのフェーズでは、おそらく怒りや諦めという感情から相場への関心を失う人々が多くなって来ることが考えられます。
ですが、このダイアグラムを見てわかる通り、そうした大衆が関心を失っている背後で次の上昇相場が静かに始まっていきます。


相場が全員をハッピーにするということはありません。
次に来る上昇相場に備えるためには、相場への関心を失うことなく、今回紹介したような市場センチメントの変化やマーケットの細かな変化に耳を傾け続けることではないでしょうか。

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