出来高加重平均価格 (VWAP)

出来高加重平均価格 (VWAP) は、出来高で加重した平均価格を測定するために使用されるテクニカル分析ツールです。VWAPは通常、日中の価格の大まかな方向性を決定する方法として日中足のチャートで使用されます。 価格がVWAPの上であれば価格は上昇中、価格がVWAPの下であれば価格は下落中という点で移動平均に似ています。VWAPは主にテクニカルアナリストが市場のトレンドを特定するために使用します。

計算

VWAPは5つのステップで計算されます:

  1. その期間の基準価格を計算します。
    [(高値 + 安値 + 終値)/3)]
  2. 基準価格にその期間の出来高を掛けます。
    (基準価格 x 出来高)
  3. 基準価格の累積を算出します。
    累積(基準価格 x 出来高)
  4. 出来高の累積を算出します。
    累積(出来高)
  5. それら累積を割ります。
    VWAP = 累積(基準価格 x 出来高) / 累積(出来高)

基礎

出来高加重平均価格 (VWAP) インジケーターは、価格が上昇している時は価格がVWAPのラインより上にあり、価格が下落している時は価格がVWAPのラインより下にあるという点で移動平均に似ています。但し移動平均と同様に、VWAPは遅行指標である点を留意しておく必要があります。過去のデータを使用して平均を計算する為、この遅行はインジケーターに本質的に内在するものです。

VWAPは任意の時間足でご利用可能です: 日中 (秒、分、時間), 週、月、年、10年、世紀。例えば週を選択した場合、値の合計は各週の最初の取引時から累積されます。

利用目的

トレンドの識別

トレンドの識別は、出来高加重平均価格 (VWAP) インジケーターを使用する主な利点です。前提は非常に単純ですが、特にトレードシグナルを確認する為に使用する場合に非常に役立ちます。

強気トレンドは、VWAPの上で取引される価格が特徴です。

弱気トレンドは、VWAPの下で取引される価格が特徴です。

持ち合い相場は、VWAPの上と下の双方で取引される価格が特徴です。

概要

出来高加重平均価格 (VWAP) は他の多くのテクニカル分析ツールとは異なり、日中の分析に最適であるため興味深い指標です。これは日中の期間の基本的な傾向を識別するための良い方法です。価格がVWAPの上であれば上昇トレンド、価格がVWAPの下で下降トレンドです。ただし欠点もあります。VWAPは主に日中ベースで使用されますが、それでもインジケーターと価格の間にはかなりの遅れがある可能性があります。インジケーターは始値で計算を開始し、終値で計算を停止しますが、短い時間足(例.1分足)を使用するチャートでは、その1日の中にも数百の期間が存在する事となります。その日の終わりに近いほど、インジケーターのラグが大きくなります。これは、過去のデータを使用して平均を計算するあらゆるインジケーターに当てはまります。

パラメーター

Hide VWAP on 1D or Above

これが選択されている場合、VWAPは日中の時間足でのみ表示されます。VWAPが意味を持つのはベース期間がチャートの時間足よりも長い場合に限るので、ベース期間を「セッション」にして併用すると便利です。

ベース期間

インジケーターの計算期間です。この設定によって「アンカー(ベース期間)」、つまりVWAPの計算がリセットされる頻度を指定します。VWAPを適切に機能させるには、各VWAP期間中にバーが複数存在していることが必要です。たとえば、アンカー(ベース期間)を「セッション」に、時間足を「1日」に設定したとしても、バー1本毎にインジケーターの計算がリセットされるため役立たないことになります。

可能な値は、セッション、週、月、Quarter、年、10年、世紀、Earnings(決算毎にリセット)、Dividends(配当毎にリセット)、Splits(株式分割毎にリセット)です。

ソース

VWAPの計算に使用するソースです。慣例としてバーの平均値がソースとして使用されます。デフォルトでは「高値+安値+終値の平均」がソースになっていますが、「高値+安値の平均」も一般的なオプションです。

オフセット

この数値を変更すると、現在の市場に対してVWAPが前後に移動します。デフォルトは0です。

Bands Calculation mode 

バンドの距離計算に使用する単位を指定します。'Percentage'を選択すると、倍率1は1%を意味することになります。

Bands Multiplier #1-3

これが選択されている場合、インジケーターは直近のアンカー以降すべてのVWAP値について標準偏差を計算します。標準偏差のバンドは対応する値を乗じた後、チャートへとプロットされます。

時間足

インジケーターの計算対象となる時間足を指定します。このオプションを使用すると、別の時間足のデータに基づいてVWAPを計算することができます。例えば、5分足チャートに1時間足のVWAPを表示することができます。

時間足の確定を待つ

インジケーターの計算対象の時間足がチャートの時間足よりも上位の場合の動作を指定します。「時間足の確定を待つ」にチェックが入っている場合、上位の時間足が確定したときにはじめてその計算結果が連携され、チャート上に表示されます。

スタイル

VWAP

VWAPの現在の実際の値を示す価格ラインの可視性を切り替えることができます。VWAPラインの色、ラインの太さ、ラインの種類も選択できます。

Upper Band #1-3, Lower Band #1-3

VWAP標準偏差の可視性の切替、およびその色とラインのタイプの設定が可能です。

Bands Fill #1-3

標準偏差間の領域の塗りつぶしについての変更、および色の選択が可能です。

精度

インジケーターの値を切り上げて残す小数点以下の桁数を設定します。この数値が大きいほど、インジケーターの値の小数点以下の桁数が多くなります。