ポイント&フィギュアチャートとは
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ポイント&フィギュアチャートとは
ポイント&フィギュア (P&F) チャートは、チャートを形成する際に時間経過を考慮せず価格変動だけを利用するチャートタイプの一例です。この点でP&Fチャートは、練行足やカギ足、新値足(ラインブレイク)に似ています。
P&Fチャートは基本的に X と O から成る一連の列で構成されます。X列は価格の上昇を表し、O列は価格の下落を表します。
ポイント&フィギュアチャートは元々1900年台初頭に人気だった手法で、コンピュータベースのチャートが出現する以前の時代に、大量データを短時間でチャート化する手法を提供するものでした。コンピュータベースのチャートの隆盛によりP&Fチャートはしばらくの間使われなくなっていましたが、最近では価格変動だけにフォーカスした「ノイズをフィルターできる」チャートとして再び脚光を浴びる存在となっています。
各列を構成する X と O は「ボックスサイズ」と呼ばれるスペースを占有します。ボックスサイズはユーザーによって定義される値です。現在の列と同じ方向に価格が動くと、新しい X や O が現在の列に追加されます。現在とは反対方向に離れて終値が確定すると、前の列とは反対方向の X か O のどちらかで新しい列がつくられます。
この転換に必要な量は転換距離によって判定されます。この値はボックスサイズに別のユーザー定義値「転換数」を掛けることで求められます。転換数は新しい列を作成するために必要な価格変動のボックス数です。
たとえば、ボックスサイズを「1」(1ドル)にセットして転換数を「3」に設定した場合、チャートに新しい文字(X または O)が描かれるには価格が3ドル動く必要がある、ということになります。
文字と列に関して2つのルールがあります:
- 各列には X か O のどちらか一方があります。同じ列に異なる文字が存在することはありません。
- X列とO列は常に交互に並びます。連続してX列/O列が表示されることはありません。
ボックスの種類
P&Fチャートに描かれるボックス(バー)には4種類あります:
- 上昇バー: 上昇トレンド中に形成されます。
- 下降バー: 下降トレンド中に形成されます。
- 上昇予測バー: 日中の時間足で(実際の終値が確定する前に)現在価格に基づいて形成される予測の上昇バー。
- 下降予測バー: 日中の時間足で(実際の終値が確定する前に)現在価格に基づいて形成される予測の下降バー。
ボックスの計算方法
転換距離の計算には3種類の方法があります:
- アベレージ・トゥルー・レンジ (ATR): アベレージ・トゥルー・レンジ (ATR) インジケーターで生成された値を利用します。ATRによってその銘柄のノイズやボラティリティを除外することが目的です。ATR方式では「自動的に」適切な転換距離が決められます。通常のローソク足チャートでATR値を計算してその値を転換距離とします。
- 従来方式: ボックスサイズと転換数にユーザーが事前に定義した絶対値を用います。価格の変動が事前に定義したボックスサイズより大きい時にだけ新しいボックスが作成されます。この方式は非常にシンプルで新しいボックスが形成される時期や位置の予測が容易な点がメリットですが、特定の銘柄で正しく機能するボックスサイズを選択するにはしばらく検証を行わなければいけない点がデメリットです。
- パーセントLTP: ボックスサイズがユーザー定義のパーセント値に基づいたものになります。ここで指定されたパーセント値を直近の終値に適用してボックスサイズを計算します。そして、最も近いバーの最小ティックサイズに丸められ、この値がすべてのバーで一貫して適用されます。ただし、この計算方法はリペイントの影響を受けます。つまり、新しいデータが入ってきた際に過去に遡って計算結果が修正される場合があるということです。詳細については上記リンク先の記事にてご確認ください。
ポイント&フィギュアチャートの使い方
先述したように「ノイズをフィルターできる」チャートは他にもありますが、それらと同様にポイント&フィギュアチャートも、自然発生するささいな価格変動や時間を考慮しないゆえに人気になっています。こうした特性から、トレンドを把握しながら将来の価格動向を予測することが容易になると考えるトレーダーもいます。
トレンドライン: ポイント&フィギュアチャートは元々方眼紙に手書きされていました。その性質から45度のトレンドラインが自然と形成されます。追加のツールやインジケーターに頼らずともこれ自体が有益な全体的なトレンドを特定する優れた方法になります。
サポート&レジスタンスレベル: ポイント&フィギュアチャートを使うと、サポートとレジスタンスレベルの間でバーが生成されるので現在のトレードレンジが明確になるケースが多くあります。
ブレイクアウト: サポートとレジスタンスのレンジ内で反発を繰り返した後で明確に一定方向へと新しいボックスが出現した際は、それがブレイクアウトの示唆になります。
チャート設定

- 上昇バー: 上昇バーの色を変更します。
- 下降バー: 下降バーの色を変更します。
- 上昇予測バー: 上昇予測バーの色を変更します。
- 下降予測バー: 下降予測バーの色を変更します。
- ソース: 各時間足のどのデータ(たとえば「終値」など)を計算に使うかを決定します。デフォルトは終値です。
- ボックスサイズの計算方式: ボックスサイズの計算方法を、ATR/従来方式/パーセントLTPから選択できます。
- ATRの期間: ボックスサイズの計算方法としてATRを選択した場合にATRの期間を設定します。デフォルトは14です。
- ボックスサイズ: ボックスサイズの計算方法として従来方式を選択した場合にユーザー定義のボックスサイズを設定します。
- 転換数: 価格が反転し、新しい列が作成されるまでに必要なボックスの数を設定します。
- パーセント: ボックスサイズの計算方法としてパーセントLTPを選択した場合に、この値によってボックスサイズとして使用される最終取引価格のパーセント値を指定します。デフォルトは1%です。
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