スプレッドチャート
定義
スプレッドチャートの最も基本的な定義は(例えば株式といった)金融商品と(別の金融商品や数値の様な)追加変数との比較です。スプレッドを用いたトレードは金融商品の価値について新しい視点を提供し、リスクの軽減にも役立つので人気が高まってきています。スプレッドチャートの活用方法にはいくつかの方法があります。一般的な方法には、価格の反転、通貨の変換、金融商品の比較、ペアトレードなどがあります。
演算子と手順
TradingViewでカスタムスプレッドチャートを作成するには、以下の手順を行ってください:
- チャート左上のシンボル検索に最初の変数(シンボル、数値など)を入力し、続けてスペースを入力します。
- 4つの演算子(「+」加算、「-」減算、「*」乗算、「/」除算)のひとつを入力し、続けてスペースを入力します。
- 続けて2つめの変数(シンボル、数値など)を入力して[Enter]キーを押します。
例: AAPL / XAUUSD と入力すると、Appleの株価を金価格で割ったAppleと金を比較するチャートが作成されます。
日中のスプレッドチャートは、1分足のOHLC(始値、高値、安値、終値)で計算され、選択している時間足に再コンパイルされます。このアプローチは正しいスプレッドチャートを導く唯一の方法です。必要となる計算はすべてTradingViewのサーバーで処理された後、その結果を示すスプレッドチャートが表示されます。
注: 1つのスプレッドチャートに追加できるシンボルは10個までです。
スプレッドチャートのリペイント
スプレッドチャートはリペイントされる可能性がある事にご注意ください。これはリアルタイムバーがティックデータを元に形成されるのに対し、ヒストリカルバーは分データに基づき形成される事や、ヒストリカルバーにはバー内の価格変動のティックデータが含まれない為です。バー内の価格変動の動きはリアルタイムでのスプレッドバーの形成に重要な役割を果たしますので、スプレッドチャートはリアルタイムデータとヒストリカルデータで異なる可能性があります。チャートをリロードする度に、データは毎回異なるサーバーで計算され、各サーバーはヒストリカルデータまたはリアルタイムデータ、もしくはそれらを組み合わせたものを利用します。結果として異なるサーバー上で形成されるバーには不一致の可能性があり、スプレッドチャートをリロードした場合、表示されるバーには僅かな違いが発生する可能性があります。この特性はスプレッドチャートで設定されたアラートにも影響します。これはアラートサーバーは常にリアルタイムで受信したデータで処理を行いますので、アラートサーバーとチャートサーバーで形成されるバーが時折一致しない可能性がある為です。
一般的なスプレッドチャートの種類
反転チャート
チャートの反転は、2つの銘柄の相関関係を視覚的にチャートで確認する良い方法です。例えば相関が非常に低い2つの銘柄で銘柄のひとつをこの方法で反転させると、同じ方向へ動く様に見ることができます。
例.EURUSD(ユーロドル)の反転: 1/EURUSD
通貨変換
銘柄を通貨ペアで乗算または除算することで別の通貨建てのチャートを見ることができます。
例.ベストバイ株(BBY)をユーロ建てで表示: BBY/EURUSD
銘柄比較
スプレッドチャートを利用する一般的な方法は、銘柄を別の銘柄で割るやり方です。この方法でスプレッドチャートを表示すると、ひとつの銘柄の様にスプレッド値の動きを確認することができます。
例.Appleと金: AAPL/XAUUSD
取引所間の裁定取引(アービトラージ)
スプレッドチャートは2つの異なる取引所で取引される同一銘柄の価格差を見ることにも利用できます。取引所のシンボルから別の取引所のシンボルを引きます(減算)。
例: BATS:FB-NASDAQ:FB
ビットコインの裁定取引(アービトラージ)
ビットコインの人気の高まりに伴い、異なる通貨間でのビットコインのアービトラージも人気のあるトレード手法となっています。
例: BTCUSD-BTCEUR*EURUSD
ペアトレード
ペアトレードは1つのトレードを行う為に同時に2つの別々の銘柄をトレードします。ペアトレードはトレードのリスクを軽減する手法として人気があります。相関関係が高い2つの銘柄(または相関関係がとても低い2つの銘柄)を見つけて、双方の銘柄でポジションを取るという考え方です。ペアが高い相関関係であればそれらは同じ方向に動くと想定されます。典型的なパターンとしては、ペアの比率がそれらの平均的な標準偏差から乖離して、特定の数値の標準偏差のしきい値を突破した時にトレード機会が訪れます。その時に割安な銘柄をロングし、割高な銘柄をショートします。ペアが平均偏差に戻ったらそれら2つのポジションをどちらもクローズします。多くのテクニカルアナリストはペアトレードのタイミングを測る為にボリンジャーバンドインジケーターを利用しています。下の例では平均から2.2標準偏差離れた位置にボリンジャーバンドを設定しています。
ペアトレードに関してのいくつかの重要な注意事項。
1. ペアトレードはマーケット・ニュートラル、つまり市場の価格変動に左右されない様に設計されています。これはマーケットの方向性は2つの別の銘柄で取得したポジションに影響を与えないという事を意味します。ペアトレードはマーケット自体の方向性からではなく2つの銘柄間の関係から利益を得る様に設計されています。
2. 相関関係は、スケールに沿って -1 から 1 まで移動します。1は銘柄に完全な相関関係がある事を意味します。ペアトレードは (-1に近づく様な)相関関係が極めて低い銘柄でも機能することを覚えておいてください。負の相関関係の銘柄でペアトレードを行う時には、それらが反対方向に離れていくことを期待して、2つの銘柄が通常よりも近づいた時にポジションを取ります。この場合、ロングとショートの2つのポジションを取るのではなく、双方のポジションを同じ方向に取ります。
3. 別の重要なパズルのピースはポジションサイズです。すべての考え方はマーケット・ニュートラルであることです。その為それぞれの銘柄で単純に同じ数のポジション数を取るだけでは不十分です。双方のポジションをドル換算で同じ価値分取る必要があります。双方の側で厳密に同数のポジションを取ったけれども2つの銘柄のドル換算での価値が全く異なる場合、トレードではドル価値の高い側のウェイトが大きすぎる事となります。
下の例はこれを具体的に示したものです。両方の銘柄で同じ数のポジションを取るだけでは、ドルベースでは極めて不均衡なトレードになる事を示しています。
できる限りドル価値で近づけるためには、ポジション数を変更する必要があります。完全に正確となる事は(もしあったとしても)ごく稀ですが可能な限り近づけることが重要です。
4. ペアトレードの鍵は2つの銘柄の相関関係です。多くのトレーダーが気づかない事の1つは、銘柄間の相関関係は絶えず変化するという事です。トレードの途中でさえ相関関係は変化する可能性があります。この事がペアトレードにおいて相関関係を常にモニタリングすることが重要な理由です。トレードで相関関係に劇的な変化があった場合、トレーダーは手仕舞いの準備をすべきです。