スプレッドチャートとは 


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スプレッドチャートとは

スプレッドチャートとは、様々な金融商品に他の変数を加えて比較できるようにしたものです。スプレッドを用いたトレードは金融商品の価値について新しい視点を提供し、リスクの軽減にも役立つという点で人気があります。

スプレッドチャートの活用にはいくつかの方法があります。よくある方法としては、価格の反転、通貨の変換、金融商品の比較、ペアトレードなどがあります。

使用できる演算子とセットアップ手順

カスタムのスプレッドチャートを作成する手順は以下のとおりです:

  1. シンボル検索」欄に最初の変数(シンボル、数値など)を入力し、続けてスペースを入力します。
  2. 4つの演算子(「+」加算、「-」減算、「*」乗算、「/」除算)のひとつを入力し、続けてスペースを入力します。
  3. 「シンボル検索」欄に2つ目の変数を入力します。

例: AAPL / XAUUSD と入力すると、Appleの株価を金価格で割ったAppleと金を比較するチャートが作成されます。

日中のスプレッドチャートは、1分足のOHLC(始値、高値、安値、終値)で計算され、選択している時間足に再びコンパイルされます。これが正しいスプレッドチャートを表示させる唯一の方法になっています。必要な計算はすべてTradingViewのサーバーで処理された後、その結果を示すスプレッドチャートが表示されます。

注意!: 1つのスプレッドチャートに追加できるシンボルは10個までです。

スプレッドチャートのリペイント

スプレッドチャートはリペイントされる可能性があります。これはリアルタイムバーがティックデータを元に形成されるのに対して過去バーは1分足のデータに基づき形成されることや、過去バーにはバー内の価格変動のティックデータが含まれないことによります。バー内の価格変動はリアルタイムでのスプレッドバーの形成に重要な役割を果たしていることもあり、スプレッドチャートはリアルタイムデータと過去データで異なる場合があります。

チャートを再読み込みするとバーにミスマッチが発生する場合があります。スプレッドチャートを再読み込みした後で、表示されるバーには僅かな違いが発生する場合があり、これはスプレッドチャートで設定されたアラートにも影響します。

よくあるスプレッドチャート

反転チャート

チャートの反転は、2つの銘柄の相関関係を視覚的にチャートで確認する良い方法です。たとえば、相関が非常に低い2つの銘柄のうち一方の銘柄をこの方法で反転させると、同じ方向に動いているように見えます。

例: EURUSD(ユーロドル)の反転: 1/EURUSD

通貨変換

銘柄を通貨ペアで乗算または除算することで別の通貨建てのチャートを見ることができます。

例: ベストバイ株(BBY)をユーロ建てで表示: BBY/EURUSD

銘柄比較

スプレッドチャートを利用する時によくある方法は、銘柄を別の銘柄で割るやり方です。この方法でスプレッドチャートを表示すると、ひとつの銘柄のように合成値の動きを確認することができます。

例: Appleと金: AAPL/XAUUSD

取引所間の裁定取引(アービトラージ)

スプレッドチャートは2つの異なる取引所で取引される同一銘柄の価格差を見ることにも利用できます。その場合は、ある取引所のシンボルから別の取引所のシンボルを減算します。

例: TSX:META–NASDAQ:META

暗号資産の裁定取引(アービトラージ)

ビットコインの人気の高まりに伴い、ビットコインのアービトラージも人気のあるトレード手法となっています。

例: BTCUSD-BTCEUR*EURUSD

ペアトレード

ペアトレードは1つのトレードを行うために同時に2つの別々の銘柄をトレードします。ペアトレードはトレードのリスクを軽減する手法として人気があります。

相関関係が高い2つの銘柄(または相関関係がとても低い2つの銘柄)を見つけて、双方の銘柄でポジションを取るという考え方です。ペアが高い相関関係であればそれらは同じ方向に動くと想定されます。 

典型的なパターンとしては、ペアの比率が平均的な標準偏差から乖離して、特定の数値の標準偏差のしきい値を突破した時がトレードチャンスになります。その時に割安な銘柄をロングし、割高な銘柄をショートします。

ペアが平均偏差に戻ったらそれら2つのポジションをどちらもクローズします。

テクニカルアナリストの多くは、ペアトレードのチャンスを見極めるためにボリンジャーバンドを利用しています。下の例では平均から2.2σ離れた位置にボリンジャーバンドを設定しています。

ペアトレードについて、いくつか重要な点があります:

  1. マーケット・ニュートラル: つまり市場の価格変動に左右されない設計になっています。これは2つの別々の銘柄で逆方向に取得したポジションに対してマーケット全体の方向性は影響しないからです。ペアトレードの利益はマーケット自体の方向性からではなく2つの銘柄間の関係から生じます。
  2. 相関関係による動きの違い: 相関関係のレンジは-1から1までです。1であれば2つの銘柄に銘柄に完全な相関関係があることになります。ペアトレードは負の相関関係でも機能します。この場合、反対方向に離れていくことを期待して、2つの銘柄が通常よりも近づいた時に双方とも同じ方向にポジションを取ります。
  3. ポジションサイズ: それぞれの銘柄で単純に同じ数のポジションを建てるのは避けてください。双方のポジションをドル換算で同じ価値だけ建てる必要があります。同数のポジションを建てても両銘柄の間でドル換算での価値が全く異なる場合、トレードではドルの価値が高い方にウェイトが傾いていることになります。

下記の例では、両方の銘柄で同じ数のポジションを建てるだけではドルベースで極めて不均衡なトレードになることが示されています。


ドルベースの価値で等しくなるように双方のポジション数を調整する必要があります。たとえ完全に一致することはなかったとしても、可能な限り近づけることが重要です。

2つの銘柄の相関関係: これがペアトレードの鍵になります。銘柄間の相関関係は時間とともに変化します。トレードの最中でさえ相関関係が変化する場合があるので、相関関係を常にモニターすることをおすすめします。

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