ウィリアムズ・フラクタル (Fractals)

定義

ウィリアムズ・フラクタルは、高値と安値によって反転ポイントを検出することを目的としたインジケーターです。これはフラクタルを使用したインジケーターの中で最初にトレーディングのメインストリームへの導入を果たしたものとして知られています。一般的には価格チャート上の5本のローソク足またはバーを基にして、高値または安値の状態を示す上下の矢印を表示します。

歴史

このインジケーターは、ビル・ウィリアムズによって初めて開発・命名されました。彼は経験豊富なトレーダーまたテクニカルアナリストであり、1995年の著書 "Trading Chaos" の中で初めてこのインジケーターが紹介されました。彼とこの著書によって、フラクタルが初めてトレーディングの世界を構成する主要要素になったとも言われています。

要点

ウィリアムズ・フラクタルは、トレーディングの世界にフラクタルとフラクタル手法を最初期に持ち込んだ指標であったため、その人気にも勢いがあります。

矢印はチャート上にフラクタルが配置される場所を示しています。このインジケーターは通常、5本のローソク足ルールに基づいてフラクタルを表示するようにあらかじめ設定されています。トレーダーの好みに応じてインジケーターの設定を変更し、1つのフラクタルの中に含まれるローソク足の数を調整することも可能です。

ウィリアムズによると、フラクタルインジケーターの使いどころは価格水準のブレイクアウトに基づく取引戦略においてです。ブレイクアウトが示されるのは、価格が直前のフラクタルの価格水準の上か下のどちらかに少なくとも1ポイント移動した時です。

価格が直近の上向き矢印を示すフラクタルを上回った場合、このフラクタルのブレイクアウトは買い手のブレークスルーと呼ばれます。逆も同様で、価格が直近の下向き矢印を示すフラクタルを下回った場合、売り手のブレークスルーと呼ばれます。ウィリアムズは、買い手と売り手のどちらかのブレークスルーが発生したタイミングをポジションを建てるシグナルと見なしています。

また、他のインジケーターやツールと併用すればより効果的な取引分析を行うことができるという点でもこのインジケーターは評価に値します。例えば、同じ作者による ウィリアムズ・アリゲーターというインジケーターと組み合わせを考えてみましょう。この場合だと、トレーダーはフラクタルインジケーターを使用することによって市場におけるエントリー価格の水準を見極め、次にウィリアムズ・アリゲーターをフィルターとして使用することによって、ブレイクアウトの水準に達したとしてもトレンドがない (弱い) 市場でポジションを建てることを回避できます。

着目点

ブレイクアウト時にポジションを建てるにあたって、トレーダーは予想されるフラクタルレベルの数ポイント上または下にさしあたりのストップオーダーを置くのが一般的です。具体的には、最後から2番目にある反対方向のフラクタルレベルに損切を設定します。

制限事項

このインジケーターの原理上、かなりのフラクタルラグ (ローソク足約2本分以上) が常に存在します。これはインジケータの一部であり、トレーダーは使用時にこのことを考慮する必要があります。

フラクタルインジケーターのラグと再現性を補うために 、経験豊富なトレーダーや投資家は、こうした悪影響をある程度軽減できる他のインジケーターとの併用をよく勧めています。上記のように、他のインジケーターやテクニカル分析ツールを追加することによって、このインジケーターの効果を大幅に向上させることが可能です。

サマリー

ウィリアムズ・フラクタルは1995年に開発され、フラクタルとトレードを組み合わせた最初のインジケーターの1つとされています。通常は5本のローソク足またはバーを基にして、そのうちの3本目が常に最高値または最安値として価格チャート上に表示されます。このインジケーターは、チャート上に上下の矢印で高値・安値を示し、一般にはウィリアムズ・アリゲーターと組み合わせて使用されます。