発行体種別

発行体種別とは、資金調達のために債券を発行する主体をカテゴリー別に分類したものを指します。発行体種別は、債券の発行の背後に存在している組織や機関の性質を示すものです。発行体の特徴に基づいて様々な債券を信用力やリスクという観点から評価する際に、こうした情報が役立ちます。

エージェンシー

発行体としてのエージェンシーとは、政府に代わって債券を発行する政府支援機関や組織のことを指します。通常、これらの機関は政府によって設立され、住宅・教育・農業への資金提供など、特定の公共政策の目標達成を図ります。政府機関の発行体は暗黙的/明示的に政府を後ろ盾にしながら、債券などの債務証券を発行して運営資金を調達することができます。

企業

発行体としての企業とは、事業の運営や拡大に向けた資金調達のために債券などの債務証券を発行する企業や事業体のことを指します。発行体としての企業は、資金の獲得と引き換えに投資家に債券を発行し、一定期間にわたって元本と利息を返済することを約束します。通常、企業の債券(社債)は発行体の資産とキャッシュフローに裏打ちされており、その社債のリスクとリターンのプロファイルを決定する上で発行体の信用力が重要な役割を果たしています。

地方自治体/行政区

発行体としての地方自治体/行政区とは、地方レベルでの公共事業やインフラ整備に向けた必要資金を調達するために債券を発行する地方の行政機関のことを指します。これらの発行体には、市・郡・学区などの区分に応じた地方債を発行して資金調達を行う地方政府機関も含まれます。発行体としての地方自治体は一般債や歳入債を発行することができ、多くの場合、その返済原資は特定のプロジェクトや歳入源と結びついています。

証券化/担保化

証券化/担保化発行体とは、住宅ローンなどのローンや債権などの金融資産をプールして、これらの資産を裏付けにした証券を発行する事業体を指します。証券化発行体は、資産担保証券 (ABS) や債務担保証券 (CDO) を発行して、これらを資本市場で投資家に販売します。これらの証券の支払いは裏付け資産からのキャッシュフローを支えとしており、発行体の信用力は裏付け資産のパフォーマンスと連動しています。

ソブリン

ソブリンとは、財政赤字や公共支出を賄うために国債などの債務証券を発行する国家政府のことを指します。この発行体は、国内外の投資家に対して自国通貨建て/外貨建ての債券を発行します。債券の金利を決定する上で発行体の信用力が重要な要素となっており、投資家の信頼度に影響を与える要素としては、経済の安定性・政治的リスク・債務水準などが挙げられます。

国際機関

発行体としての国際機関とは、複数の同盟国や地域を代表して債務証券を発行する国際組織や機関のことを指します。世界銀行や欧州投資銀行などの国際機関は、複数の国々に利益をもたらす開発事業やインフラ投資に向けて資金を提供するために資本市場で資金調達を行います。通常、国際機関債は同盟国の集合体が裏付けになっており、発行体としての信用格付けも強力なことから低リスクの投資とみなされています。