FRBのバランスシート縮小のインパクトを考える金融政策には
・量的政策(国債を買い取り、市場に資金を流す、もしくは国債を売却し、資金を吸収する)
・質的政策(政策金利を下げること、もしくは上げること)
の2種類があります。
アメリカは特にコロナショック後
質的、量的にも大規模な金融緩和政策を行ってきました。
つまり政策金利を下げ、国債を買い取ってきました。
その結果、FRBのバランスシート(B/S)はコロナ前には約4兆ドルだったものが、現在は約9兆ドルまで膨れ上がっています。
膨れ上がったB/Sを少しずつ縮小させていくことになりますが、これをQT(Quantitative Tightening)つまり量的引き締めと言います。
前回のQTでは約4兆5000億ドルを約2年かけて約6500億ドル減らし約3兆8000億ドルにしました。
ただ、前回のQTは好景気の中でのものに対して、今回のQTは景気一服もしくは景気後退の局面において、インフレを抑えにいくものとなります。S &P500をオレンジで示していますが既に下降トレンドに入った可能性もあります。
このような中でも、政策金利を上げ(質的引き締め)、QTを実施(量的引き締め)を行うということは過度なインフレを警戒しているとマーケットに知らせることが出来ます。
ただ、問題はどのようなペースでQTを行っていくかです。現在出ている情報では前回のQTより、急速に行っていく予定となっています。
ただ、あまりにも急速すぎるとマーケットのコロナ禍から回復してきている経済の資金需要を満たせないことになりますので注意が必要です。
そういう意味では
6月中旬に行われる次回のFOMCは要注目です。
Balance Sheet: Assets: Total Assets: Total Assets (Less Eliminations from Consolidation): Wednesday Level
トレードなし
WALCLのトレードアイデア
FRBの資産増減をみてみようこちらがFRBの資産額推移です。
桁が多すぎて分かりにくいですが
単位が百万ドルですので
左端の数値が兆ドルを指しています。
つまり現在は8兆2571億円ということになります。
FRBの資産が増える要因は国債の買い入れです。これを縮小するのがテーパリングということになります。
全体を見ると大きく3つの増加期があることが分かります。
①(緑)のリーマンショック期
②(赤)のコロナ発生期
③(紫)のコロナ拡大期
分析
①のリーマンショック期においても継続的な金融緩和を行ってきたことがこちらのラインチャートから分かります。
一方で
②(赤)のコロナ発生期には極めて機動的に金融緩和を行い、マーケットに資金供給を行ったことが分かります。
そして現在に至る
③(紫)のコロナ拡大期には継続的に資産購入を進めていることがうかがい知れます。
現在、米国は
中央銀行が③のように継続的に資産購入(金融緩和)をしつつ、
政府は大規模な財政支出(財政政策)を行っており、それが上手く回っていると感じています。
ただ、資産購入をこのまま続けるわけにもいきませんのでテーパリング(資産購入縮小)の時期が大切になってきます。
また、大規模な財政支出による債務も膨れ上がってきていますので、今後はどうやって解消していくかが課題となります。
本日は以上です。ありがとうございました。