【波動の見極め方のコツ】推進波と調整波の比率 -- 縦軸だけでなく横軸にも着目しよう--今回は波動の見極め方のコツということで、チャートの横軸(時間軸)に注目した波動の特徴について共有したいと思います。
エリオット波動を分析に使われている方であれば、チャートの縦軸(価格軸)に着目して各波の比率を見たり、トレンドがどの価格水準まで伸びそうかという分析はされていると思います。
ですが、横軸に注目している方は意外と少ないのではないかと思ったのが、今回この投稿を書いてみようと思ったきっかけです。
・どこからどこまでが一組の推進波・調整波なのか判断するのが苦手
・調整波がどこで終わったのかの見極めが難しい
という方は、この横軸に注目してみると、波動の識別がしやすくなるかもしれません。
1.具体例
2.トレードにどう生かすのか
の順番で解説します。
具体例
実際の波動の例を基に説明するのが一番わかりやすいと思い、最近のチャートの中からいくつか取り上げたいと思います。
いくつかは日々投稿している相場分析の中でも取り上げているものです。
1.AUDUSD 4時間足
こちらは11月初旬のAUDUSDのチャートです。
青の上昇5波(推進波)、下降3波(調整波)と経て、再び高値を更新して上昇している様子が確認できると思います。
チャートの下部に推進波、調整波を構成するバーの数を記載しています。
この比率を見てみると、
推進波:調整波 = 32(本):20(本) => 8 : 5 => 1.6 : 1
というように1.6 : 1の比率となっています。
この数字を見てピンと来る方もいるかと思います。そう、これもフィボナッチ比率です。
(フィボナッチリトレースメントでよく出てくる1.618というやつですね。)
波動を縦軸の観点で見ると、3波が1波の1.618水準まで伸びやすいのと同様に、
横軸の観点でも推進波と調整波がこのフィボナッチ比率に収まるケースというのは多いです。
2.EURUSD 日足
次はユーロドルの日足を見てみます。
今までのユーロドルの相場分析でもずっと取り上げていた日足波動(2020年3月から10月くらいの値動き)です。
最初の例と同様に、上昇5波(推進波)、下降3波(調整波)と経て、再び上昇波動がスタートしているという局面。
こちらも先ほどと同様に推進波と調整波の水平方向の長さの比率を見てみると、
推進波:調整波 = 75(本):44(本) => 1.70 : 1
というようにフィボナッチ比率1.618 : 1 に近い比率となります。
3.USDCAD 日足
最後はドルカナダです。
こちらも日足波動を示しています。
推進波:調整波 = 118(本):42(本) => 2.80 : 1
こちらはさらに別のフィボナッチ比率2.618に近い比率です。
1、2の例に比べると推進波に対して調整波が短いケースなので比率は大きくなります。
トレードにどう生かすのか?
これらを知ってトレードにどう生かすのかという点ですが、
(1)調整波の終点予測ができることで、ポジション手仕舞いのタイミングとして使える
(2)トレンド初動を取るためのトレンド転換ポイントの予測として使える
という点が挙げられます。
(1)について、調整の下降波(=ABC波)のトレンドに乗れたとします。
順調に含み益も乗ってきて、今度はどこで利確すべきか?が悩みになるわけです。
この際、調整の下降波の各波の比率(ここではテーマから外れるので割愛)からC波の終点価格水準を予測するというのが一つ(縦軸の観点)。
ただし、当然のことながらいつもその比率まで波動が伸びていくとは限らない訳で、そんな場合には、横軸の観点から推進波と調整波の比率を見てみることで、調整波が近々終了するのではないかというあたりをつけることができます(横軸の観点)。
同じように、縦軸と横軸の両方の観点から調整波の終点にあたりをつけることができれば、その付近でトレンド転換が起こる可能性を想定して、短期足の値動きを細かく見てみるという活用も可能です。
このように、縦軸と横軸の双方の観点でフィボナッチ比率を用いながら推進波・調整波の比率を見てみると、波動のかたまりと推移が捉えやすくなります。
今まで波動の横軸については見たことなかった、という方は一度チェックして見ると良いかもしれません。