【米国株】半値戻しは強気のサイン? SP500の弱気相場における半値戻し50年の傾向7月の米国CPIが発表されました。
結果は予想を下回ったものの、以前インフレは歴史的に非常に高い水準にあります。
一方の市場関係者の見方はというと、インフレはもうピークを打ったとの見方や、利上げのピークはまだと見方が分かれているようです。
株価の反応に目を向けると、7月のCPI発表当日のS&P500が日足の戻り高値を終値ベースでブレイクするという強気な形で終了。
さらにその翌々日には年初からの下落の半値戻しラインを、同じく日足の終値ベースでブレイクしています。(下記チャート)
※週足終値でも同様
SP500日足、直近の動き
今回は、この半値戻しという点に焦点を当て、S&P500が弱気相場で半値戻しをした後に再び安値更新することはあるのかどうかを、過去50年のデータを遡って調べてみた結果をシェアしたいと思います。
非常に面白い結果となったので、特に中長期投資を考えている方の今後の戦略立案の参考になるのではと思います。
SP500月足
以下のチャートはSP500の月足です。
下段は直近最高値からの下落率を示しており、青の破線を下回った部分が弱気相場です。
(インジケーターは投稿下にリンクしていますので適宜参照ください。)
今回は1970年代の第1次オイルショックまで遡り、弱気相場で半値戻し(50%)水準を”日足の終値ベースでブレイク”した後に、さらに安値更新するケースがあるのかどうかを調べています。
弱気相場は合計12回ありましたので以下に結果を記します。(弱気相場の年代、半値戻し後に安値更新したかどうか)
1.1970年、安値更新なし
左が月足、右が当時の日足です。日足の終値で50%戻し水準をブレイク。その後は月足を見るとわかる通り安値更新は起きていません。
2.1974年、安値更新なし
3.1978年、安値更新なし
4.1980年、安値更新なし
5.1981年、安値更新あり
6.1982年、安値更新なし
7.1987年、安値更新なし
8.1998年、安値更新なし
9.2001年、安値更新なし
10.2008年、安値更新なし
11.2011年、安値更新なし
12.2020年、安値更新なし
以上、結果を見てわかる通り終値ベースで半値水準をブレイクした後に、直近の最安値(Lower Low)をさらに更新するケースは1981年の1件だけでした。
半値水準を日足の終値でブレイクできるかどうかは、その後のSP500の相場推移の分水嶺といっても良いでしょう。
このことから言えるのは、日足終値ベースで半値以上戻してからの下落場面は、統計的に見ると強気ポジションを構築していくことを積極的に考えても良い場面と捉えられる、ということです。
皆さんはこの結果をどう捉えますか?
ダウやナスダックではどうなのか?欧州株やその他指数でも調べてみると新しい発見があるかもしれません。
今回の投稿は下値側に関する傾向ですが、高値側、つまり最高値更新について過去の傾向を調べた以下の投稿も合わせて参考にしてみてください。
【米国株】過去の米国リセッション局面で株価はどう動いたのか?
Bearmarket
【米国株】過去の弱気相場(ベアマーケット)を見てみよう5月20日の米国市場ではSP500が一時弱気相場(ベアマーケット)の領域に入るなど米国株の下落が続いています。(終値ベースではかろうじて免れる)
直近の最高値からの下落率が、60日以上に渡って20%を超えると弱気相場入りと定義されていますが、過去の弱気相場ではどの程度下落して、どの程度続いたのかを米国株の代表指数であるSP500で振り返ってみたいと思います。
相場においても”歴史は繰り返す”もの。
過去の値動きを見ることは、未来を見ることにつながります。
過去の米国株の下落率
以下のチャートは、S&P500の月足に直近高値からの下落率(赤)とその後の上昇率(青)を表示したものです。
青の水平線が20%下落のラインなので、これを見ると一定のサイクルでベアマーケットが訪れていることがわかります。
また、赤の領域が大きいほど下落相場が長かったということを意味します。
こうして見ると、9.11やリーマンショックの時のベアマーケットは下落率もその期間も長い一方で、コロナショックの時のベアマーケットは下落率は大きかったものの、期間は極端に短かったということもわかります。
弱気相場はどれくらい続くのか?
ベアマーケットに関しては色々な調査機関が統計を取っています。
調査機関によって若干のデータの違いはあるものの、投資調査会社Ned Davis Researchの調査によると、1929年から2021年までベア・マーケットは26回存在。
S&P500で見てみると、下落率は平均で35.62%、中央値33.6%、継続期間は平均289日、中央値は245日となっています。
また、最大・最小は以下の通りです。
最大下落率: 61.8%(1931/11/9–1932/6/1)
最長期間: 630日(1973/1/11-1974/10/3)
最小下落率: 20.57%(1948/6/15–1949/6/13)
最短期間: 33日(2020/2/19/–2020/3/23) ※(コロナショック)
現在のSP500の状況を見てみると、最高値をつけた2022年1月3日週から133日経過、終値ベースでの下落率は19%という状況です。(下記チャート参照)
もちろん、相場ですからどうなるかはわかりません。
これからベアマーケット入りするとしても、コロナショックの時のように短期でリカバリーする可能性もありますし、リーマンショック級の規模になる可能性もあります。
ただ、過去の弱気相場ではこのように動いたこともある、ということを知っているのと知らないのでは、これから起こることに対する心構えが変わってくるのではないでしょうか。
過去のデータと比較するとまだまだ下落する可能性と下落期間が続く可能性を見ておくことは十分に価値があると言えるでしょう。