【ドル円】2023年の見通し| 月足3波終了でレンジ入りの可能性今回は今年最後の投稿ということで、ドル円の2023円の見通しについてテクニカルとファンダメンタルの両観点からの考察を共有してみたいと思う。
2022年は歴史的に円安が進行した一方で、年末まで後少しというタイミングで突如日銀からYCC(イールドカーブコントロール)の修正が発表されるなど、ドル円にとっては怒涛の一年であった。
この一年を受けて来年はどのような動きが考えられるのか、気になる方も多いかと思うので参考にしていただければ幸いである。
テクニカル
チャートはドル円月足である。
改めて現在までの流れを振り返ってみると、アベノミクスで始まった大金融緩和で70円台からの大幅な円安進行が始まり(上昇1波)、日銀がマイナス金利を導入した2016年1月から2020年12月までのレンジ相場(2波)、そして2021年に入ってからの日米金利差の拡大を伴った急激な円安の進行(上昇3波)と、月足レベルでのN波動が推進。
そして2022年の年の瀬になって、YCCの修正という過去のドル円の動きの節目で起きていた金融政策の変更が発生した。
なお、1波のちょうど等倍地点でドル円が折り返してきているのはテクニカルのエキサイティングなところである。
また、1波(3年)と2波(5年)に要した時間を考えると、3波の時間(まだ2年)が短いのが個人的には気になるところではあるが、このYCCの修正イベントとその他のテクニカル要素から、一旦便宜的に月足の上昇3波は終了したと仮定してみる。
以上の流れを元に来年にどのような動きが出るかを考えると、ドル円お得意の三角保ち合いまたはフラッグ(=斜めのレンジ)になるのではと見ている。
理由は、前述のようにドル円の月足レベルでの3波が終了していることに加え、日足以下の時間軸ではおなじみの光景ではあるが、大きな上昇(または下降)の後というのはレンジになりやすいものである。それが月足という長期時間軸で起きるのではないかというシンプルな考え方である。
価格的には上限の目処を143.50、下限はMaxで116.50円から120円と見ている。
ドル円の月足に、日米長期金利差(中段)、日米政策金利を表示したものが以下のチャートである。
FRBが利上げを開始したのが2022年3月で、そこから日米長期金利が一層拡大してドル円が急上昇した訳だが、その時の月足の安値が115円なので、その少し上あたりのゾーンをMAXでの下限として見ているということである。
ファンダメンタルズ
米国
ドル円の動きに大きく影響する日米双方のファンダメンタルズについて、まずはアメリカ側から見ていきたい。
注目は何と言ってもFRBの利上げ停止と利下げ観測に伴う日米長期金利差の縮小であろう。
2021年以降の急激な円安の要因の一つが日米金利差の拡大であることは前述の通りであるが、FRBは2022年に歴史的にも稀なスピードで利上げを行なったことで、2023年にはこの影響がインフレをはじめとする実体経済の様々な点に影響を及ぼし始めることが想定される。インフレ率に低下が見られ始める一方で、利上げの影響による企業活動の縮小、業績悪化、失業率上昇が目立ち始め、FRBの焦点はインフレ退治から景気停滞/後退対策へと徐々にシフトしていく。
ただし、インフレ率については急激に下がるということは考えにくく、引き続きインフレをケアする必要性は継続する。そうするとFRBのメンバーが再三言及しているように、しばらくの間は政策金利を一定の高水準に留める期間が生まれる。
2022年は拡大する一方だった日米長期金利差が横ばいから縮小状態になるため、ドル円の上昇圧力は緩和する。
なお、FRBのメンバーは2023年の利下げはあり得ないと発言しているが、それは上記のようなインフレのしつこさを想定していることに加え、70年代オイルショック時の過ちや、2021年の「インフレは一過性」のような判断ミスを恐れてのことだろう。個人的には、出るとしても利下げの観測くらいであろうと見ている。
また、仮に米国が利下げに転じて、日米金利差がさらに縮小に転じてきたとしても2021年以降の上昇を全て覆すようなドル円の下落にはなりにくいことは歴史が証明している。この辺りは以前の投稿「日米金利差縮小してもドル円下落は限定的?過去20年の傾向を見る」(下記リンク)でまとめているので合わせて参考にしていただきたい。
日本
日本側で注目されるのは、やはり来年4月に就任する新日銀総裁下での金融政策であろう。
ここについては筆者は基本的に大きな変更はないものと見ている。
現在日本に見られている非常に緩やかな物価上昇は、欧米の物価上昇に見られるデマンドプル型ではなく、コストプッシュ型のインフレであるというのは周知のことであるが、コストプッシュを牽引していた原油・エネルギー価格が低下してきているのに伴い、この緩やかな物価上昇も次第に停滞するのではないか。
もう一つ日銀が再三言及している賃金上昇を伴う物価上昇であるが、これに関しては残念ながらそう簡単には起こらないであろう。
日銀が公表している経済見通しでは、直近の物価上昇に関してエネルギーや食料品、耐久財などの価格押し上げ要因が減衰するのに伴い、来年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくと予想。その後はマクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくもとで再びプラス幅を緩やかに拡大していく、とポジティブな見通しであるが、この後半の部分については個人的にはネガティブである。
20年以上に渡り賃金が減少傾向にあるものが、たった数年で変わるほどドラスティックな政策や指導者が今の日本にあるかと言われればNoであろう。したがって2023年にこれが起きる確率は非常に低いと見る。
仮に上述の問題点に改善が見られない状態で、緩和の停止や引き締め(特に利上げ)に舵を切るような場合は、これまでの日銀のロジックに矛盾するし、それこそ日銀の信用に関わってくる。これらはブラックスワン的イベントになるだろう。
以上から、新日銀総裁下での金融政策も黒田体制を引き継いだ緩和的なものになると考える。
市場を取り巻く不透明感
先日は黒田日銀総裁がサプライズでYCCの修正を発表したことで市場が動揺したのに加え、退任を間近に控えたタイミングでこれまで頑なに変えないと言っていた政策を変更したことで、新総裁以降の金融政策修正の幕開けではないかという憶測も生まれているようである。
黒田総裁は先日の会見において、YCCの修正は政策の転換や引き締めを意味しないと言及したものの、この先何が起こるかわからないという不透明感から市場が安心感を得るには何らかの材料が必要ではないか。それまでは円の下値(=ドル円の上値)は限定的になる可能性は十分考えられる。
筆者は、新総裁が決定しこれまでの黒田金融政策を引き継ぐ形の政策が発表されたタイミングで、円の上値は再び限定的になり、テクニカルで言及したレンジ下限からのドル円上昇圧力が再び高まるのではと見ている。
Merry X’mas🎅 and Happy New Year!🎍
みなさん良いお年を!
Monetarypolicy
FRBのバランスシート縮小のインパクトを考える金融政策には
・量的政策(国債を買い取り、市場に資金を流す、もしくは国債を売却し、資金を吸収する)
・質的政策(政策金利を下げること、もしくは上げること)
の2種類があります。
アメリカは特にコロナショック後
質的、量的にも大規模な金融緩和政策を行ってきました。
つまり政策金利を下げ、国債を買い取ってきました。
その結果、FRBのバランスシート(B/S)はコロナ前には約4兆ドルだったものが、現在は約9兆ドルまで膨れ上がっています。
膨れ上がったB/Sを少しずつ縮小させていくことになりますが、これをQT(Quantitative Tightening)つまり量的引き締めと言います。
前回のQTでは約4兆5000億ドルを約2年かけて約6500億ドル減らし約3兆8000億ドルにしました。
ただ、前回のQTは好景気の中でのものに対して、今回のQTは景気一服もしくは景気後退の局面において、インフレを抑えにいくものとなります。S &P500をオレンジで示していますが既に下降トレンドに入った可能性もあります。
このような中でも、政策金利を上げ(質的引き締め)、QTを実施(量的引き締め)を行うということは過度なインフレを警戒しているとマーケットに知らせることが出来ます。
ただ、問題はどのようなペースでQTを行っていくかです。現在出ている情報では前回のQTより、急速に行っていく予定となっています。
ただ、あまりにも急速すぎるとマーケットのコロナ禍から回復してきている経済の資金需要を満たせないことになりますので注意が必要です。
そういう意味では
6月中旬に行われる次回のFOMCは要注目です。
【USDJPY|ドル円 】週足 130円越えから更に高値追いも今回は少し大きな視点からドル円相場を見ていきたいと思います。
表示しているのは1990年代からの週足です。
1995年から1998年までは3年かけて80円から147円と実に68円も上昇したこともありました。
ただ、近年は日米ともに金融緩和をおこなってきた為、金利差という意味では大きな開きがなくボラティリティは低い状態にありました。
しかし、
アメリカが金融緩和からの転換を明確にした一方で、
日本は連続指値オペや日銀総裁記者会見から更なる金融緩和の姿勢は崩れていません。
つまりアメリカはインフレを抑える為に金融引き締め、日本はインフレが進みつつも景気悪化への影響を勘案して金融緩和を継続していると言えます。
これにより、
円は売られドルは買われる
という大きな流れは止まりそうにありません。
ではどこまで円安が進むのか、ですが
2002年高値(L1)までは目立った抵抗帯がありません。
また、1998年高値(L2)までも同様に抵抗帯はないといえます。
そのため、相場に勢いがついたら一気にL1、L2も抜けてくる可能性があります。
現在EMAからは乖離してきており、過熱感は高いのですが
相場は行き過ぎる
ということを頭に入れて置かれると良いかもしれません。
ただ
相場は行き過ぎる
とはいうものの、1995年から1998年の際の大相場の際も26週EMAに回帰しながら上昇していっていたことを考えると、
総合的には
L1、L2を抜ける可能性は十分ある。
ただし、移動平均線が追い付くまでの日柄は数週間程度要するのではないか
というのが私の見解です。
長期金利差からみるドル円相場左がドル円(日足)
右が長期金利(10年もの国債利回り)
青:アメリカ
オレンジ:日本
赤:アメリカー日本
を表示しています。
今回は長期金利差と為替の相関関係から相場を考えていきます。
まず大前提として為替も株式、野菜、資源などの他の"モノ"と同様、需要と供給のバランスで価格が決まります。
ドル需要が高まれば、ドルの価格が上がる(ドル高になる)ということですね。
その需要量と供給量がどのように決まるのか?までは今回は深入りしないこととします。(あまりにも記述が多くなりすぎる為。興味がある人は国際経済学の書籍を参考にされると良いかと思います。
長期金利を見ていくと
日本はじわじわと上がってきているのですが急騰はしていないのが見てとれます。
一方でアメリカは今年に入ってから急騰していますよね。
結果、アメリカ長期金利と日本長期金利の差額(赤)は上昇してきています。
これは日本国債を買うより、アメリカ国債を買う方が利回りが良いのでドル需要が高まる。
それに伴ってドル高が進行しているという流れになります。
アメリカは物価上昇に歯止めを掛ける為、金融緩和政策から引き締めへと向かっていますが、急に行うと景気後退につながりかねないので慎重に行っています。
日本は物価上昇にも関わらず、賃金への転嫁が出来ていないため、中々緩和策からの転換は難しそうです。かつ日銀の現在の立場では円安は日本経済にとってプラスというのが基本スタンスです。
よってアメリカは引き締め、日本は緩和という流れは当面の間続きそうです。
とすると為替のバランスも、円を売ってドルを買うという流れが続く、もしくは加速していく、というのが基本シナリオとなるでしょう。
【USDJPY|ドル円 日足】更なる円安の可能性右がドル円週足チャート
左がドル円日足チャート
になります。
今回は 週足からどこがドル円の上値抵抗になり得るのかを考え つつ、 日足から今後の数ヶ月スパンの値動きも予測 していきたいと思います。
まず週足からわかること
・大きな上昇(円安)トレンドに入っているということ
・次の抵抗線は2015年につけた125.86円であること。
・このラインをブレイクすると、2003年まで約20年遡り、130円台となるということ。
これを踏まえて日足の戦略を考えていきます。
・3月に入ってからの上昇トレンドは堅調に推移している。
・しかし、加熱感もある。
・数日の値幅が大きかったがフィボナッチで38.2%近くまでは戻してきている。
↓
一気に125.86円を抜いて130円をターゲットに上がる可能性もありますが、私はどちらかとその可能性は低いと考えています。
一旦はフィボナッチで38.2%戻しを付けたものの、日柄が浅いです。移動平均線からの乖離も大きい。
<結論>
上記を考えると125.86円を抜いていくなら数週間、数ヶ月の時間をかけて、ポジション消化しながら抜いていくのではないかと予測しています。
ただ、大きな流れとしてこの円安はマクロ経済と関連していますので、いつもはテクニカルのみで分析を終わらせているのですが、今回は少し補足をします。
マクロ経済分析
・日本はコロナ禍からの経済正常化への道筋をつけられておらず、それでいて輸入物価も上がっているため金融緩和を継続せざるを得ない。
一方
・アメリカはコロナ禍は続いているにせよ経済を回すステージに入っています。そんな中で物価が上昇してきているので金融引き締め方向へ。
日本が金融緩和から簡単には抜け出せない以上、ある程度の長期的スパン(半年から年単位)で円安は進んでいく と考えます。
その中でもトレンドが強く出る時期がありますので、それを上手く捉えていきたいですね。
本日は以上です。 ご覧いただきありがとうございました。