配当利回り

定義

配当利回りは、配当金を支払う原資産の価格に対して企業から1年間にどれだけの配当金が支払われるかを示しています。その値は財務比率としてパーセンテージで表示されます。「利回り」という言葉は債券投資においてよく使用されますが、これは資産をそのまま保有するだけでどれだけの利益が得られるかを表すために用いられます。

計算

配当利回りの計算式は以下の通りです:

配当利回り=1株当たりの年間配当金:1株当たり株価

配当利回りは通常、昨年度通期の決算報告書から計算します。企業が行う年次報告から時間が経つほど、投資家にとっては妥当性を欠くデータになってしまう点に注意してください。

配当利回りの計算に取り掛かるにあたってその方法を決めるには、その企業の配当金支払いの履歴について分析・検討を行ってみると、どのような計算方法が最も効果的で精度が高いかを選ぶのに役立つはずです。

要点

配当利回りは株式を所有する対価として企業が株主に支払う金額を、その企業の現在の株価で割ったものです。企業によっては他の企業よりも高い配当金を支払い、そして更にその配当金に高い税率をかけることができます。

配当利回りは、投資家が投資する企業を探す際によく分析されます。特に債券投資家は、配当利回りを期待しています。REIT (不動産投資信託)、BDC (ビジネス・ディベロップメント・カンパニーズ)、MLP (マスター・リミテッド・パートナーシップ) などの企業は、米国財務省が利益の大部分を株主へ支払うように求めているため、支払う配当金が平均的に高い可能性があります。このような事例は「パススルー」プロセスと呼ばれ、企業の利益に対して法人税が免除される分、配当金として株主に支払われます。ただし株主はその利益に対しての税金を支払わなければなりません。

高い配当利回りが常に良い投資機会を指し示しているとは限らないことに留意しましょう。また株価の下落によって配当利回りが高くなるケースもあり、この場合、企業の収益性が高いとは言えません。

着目点

配当利回りが現状維持で割合上も増減がない場合、株価が下がれば利回りは上がると考えてよいでしょう。逆に、株価が上がれば配当利回りは下がります。配当利回りは株価に対して変化するため、株価が急落している時には、配当利回りが異常に高い数値を示すこともあります。

配当利回りは、株主が投資した金額に対してどれだけのリターンが期待できるかをわかりやすく表すために、金額そのものではなくパーセントで示されます。一般的に利回りは企業が毎年どれだけの配当を支払っているかを示しています。

制限事項

企業が配当を通じて支払うそれぞれのお金は、企業内部への再投資ができないお金でもあるため、企業が成長する必要性や可能性を犠牲にしていることがあります。先にも述べたように、投資家にとって配当利回りのみで銘柄分析を行うのは得策とは言えません。また、配当利回りが高いにもかかわらず業績が悪化しているように見える企業には注意が必要です。配当利回りの算出に用いる株価が計算式の分母になっているからです。

サマリー

配当利回りとは、企業の株価に対して企業が1年間に配当金として支払う金額の割合を示したものです。配当利回りは、他の指標と併用することによって分析の手助けになります。ただし、企業の株価とは無関係で不十分なデータを示すこともあるため、この指標にだけ焦点を絞って投資を行うべきではありません。