フィッシャー・トランスフォームは価格をガウス正規分布に変換し、直近の価格データを参照することによって、価格が大きく動くタイミングについてのシグナルを出すテクニカル指標です。フィッシャー・トランスフォームから得られる情報は、資産価格の反転や大きな変化を見極めるのに役立ちます。このインジケーターを使用すると、トレンドの判断や、そのトレンドの中でキーとなる値動きを浮き彫りにすることができます。
フィッシャー・トランスフォームはJ.F. Ehlersが開発および最初に紹介したテクニカル分析指標であり、価格の大きな反転を見抜くインジケーターとして機能します。
フィッシャー・トランスフォームの計算式は次のとおりです:
フィッシャー・トランスフォーム = ½ * ln(1 + X / 1 - X)
ln= 自然対数
X= -1から+1の間の値に変換された価格
フィッシャー・トランスフォームを使用して、その資産価格を追跡してみると転換点がより明確になります。また、さらに顕著な価格反転のシグナルを求めるトレーダーもいますが、フィッシャー・トランスフォームの方向性の変化を追跡する方が有益と考えるトレーダーもいます。通常、フィッシャー・トランスフォームは資産価格に適用されますが、他の指標にも適用することが可能です。
定義のセクションで述べたように、フィッシャー・トランスフォームは価格をガウス正規分布に変換するテクニカル指標ですが、通常は正規分布にならないデータ (市場価格など) がしばしば含まれています。このためデータの表示が単調で極端な変化が少なくなりますが、これによって市場で真に価格反転が生じるタイミングを判断することができます。
このテクニカル指標は「非拘束型」と呼ばれるものであり、長期的に極端な変化が起こる可能性があります。何をもって極端とするかは、取引対象の資産の過去の値動きから定義できます。ここで読み取る値は分析する資産によって異なります。こうした読み取りは、反転のシグナルとなる可能性を見出すうえで重要であり、フィッシャー・トランスフォームが示す方向の転換によってその確認および否定ができます。
フィッシャー・トランスフォームには、しばしばシグナルラインの表示も併せて用いられます。これは基本的にフィッシャー・トランスフォームの値動きの平均を示すもので、従来のインジケーターのラインが示す動きよりもゆっくりとしています。これは、フィッシャー・トランスフォームとトリガ ーラインの交差を捉える場合にによく使用されます。
トレーダーの多くはフィッシャー・トランスフォームをトレンド分析に特化した他のインジケーターと併用することを選んでいます。これはフィッシャー・トランスフォームが多くの誤った取引シグナルを発信して、その中には少しも利益にならないものもあるからです。他のインジケーターと組み合わせることによって、売買シグナルの認識や行動タイミングの把握をより完全なものにすることができます。
ただしフィッシャー・トランスフォーム指標を、ボリンジャーバンドと混同しないように留意してください。チャート上では異なるように見えますが、どちらも資産価格の分布に根ざしており、混同されることもしばしばです。簡単な見分け方としては、フィッシャー・トランスフォームが価格チャート上に独立したインジケーターとして表示されるのに対し、ボリンジャーバンドは明確に価格の上に重ねられて表示されることを覚えておくとよいでしょう。
着目点のセクションで述べたように、フィッシャー・トランスフォームは価格の反転や極端な変化を識別しやすくするためのものですが、多くの売買シグナルを発信する為、混乱の原因になる可能性もあります。これは大きな問題になり得るので他のインジケーターとの併用を強く推奨します。
フィッシャー・トランスフォームは価格をガウス正規分布に変換し、直近の価格データを参照することによって、トレーダーに値動きやトレンドの変化を知らせるインジケーターです。このインジケーターが与える情報は、資産価格の反転や大きな変化に基づいて売買タイミングを正しく決定するのに役立ちます。フィッシャー・トランスフォームは、他のトレンド系インジケーターと併用することで価格のトレンドを見極め、市場における資産価格の重要な変動を浮き彫りにするのに役立ちます。