季節性 (Seasonality)

時系列分析において季節性とは、あるデータで発生する変動について、1年未満の期間で定期的に似た変動が見られる傾向のことを指します。TradingView内蔵のインジケーター「季節性」では指定した年から始まる月間パフォーマンスを追跡および視覚化することで、トレーダーが季節性に潜むパターンを識別できるようにしています。

「季節性」インジケーターは下記2つの部分から構成されています:

  • チャート右上にある「ヒートマップテーブル」は、色のグラデーションを使って月間変動率や指標を表示します
  • 「ボックス」は、過去の平均変動率をもとに月間レベルでの予測を表示します

ヒートマップ

「ヒートマップテーブル」は、選択した月を起点として各月の過去の変動率を表示します。このテーブルでは各行に年ごとに分けられた前月比データが収められ、各列が特定の月に対応するように整理されています。さらに、表の最下段には、各月の季節平均・標準偏差・プラス変化の割合が計算対象になる年数にわたって表示されます。これらの指標の詳細については、後述の「パラメーター」セクションをご参照ください。

このような視覚的配置を行うことによって、シンプルかつ整理された方法で、あるシンボルデータについて数年間にわたる月間の変動が分析可能になり、またそこに潜む季節的傾向を見極めることができるようになります。

ボックス

チャート上のボックスは、その月の過去数年間の平均変動率をもとにした各月の予測を示しています。各ボックスは月の最初のバーの位置を始点にしています。そこから、その月を通して市場が過去の平均変動率どおりに動いたと仮定したときに、前月の終値からその月の終値と予測された価格まで縦に広がる範囲をカバーします。各ボックス中にその月の平均変動率も表示されます。

たとえば、現在が2月だとして1月最後のバーの終値が200、過去の2月の平均変動率が10%だったとしましょう。この場合、ボックスは始値200、終値220(200に200の10%を足した値)の範囲で2月全体がカバーされ、ボックスで囲まれた領域には予測される(平均の)変化を示す「10%」が表示されます。

インジケーターの「設定」内の「スタイル」タブから、ボックスの表示を切り替えることができます。

注意事項: ヒートマップでは最新のティックからの値が表示されるのに対し、ボックスではインジケーターが描画するバーからの値が使用されます。したがって、ボックスでは過去の平均変動率が表示され、ヒートマップテーブルでは現在の平均変動率が表示されるため、ボックスに表示される平均値とテーブルの "Avgs" セクションに表示される平均値が異なることがあります。

プロット

このインジケーターには、過去データの計算について更に情報が得られる、役に立つプロット値も含まれています。これらのプロット値は、インジケーターのステータスラインとデータウィンドウで見ることができます。


"Expected price for current month (当月の予想価格)" – 市場が過去の平均変動率どおりに動いた時の当月の終値。

"Historical average for current month (当月の過去平均値)" – 月開始時の平均変動率。当月の予測を反映したボックスにもこの値が表示されます。

"Historical standard deviation for current month (当月の過去の標準偏差)" – 月開始時における変動率の標準偏差。

"No. of months used in the current average (現在の平均算出に使用した月数)" – 月開始時における平均値など指標の計算に使用された過去の月数。

 

パラメーター

Starting year(開始年)

インジケーターの計算開始年です。利用できるかぎりの全データを収集して結果を算出するという場合には、この値をそのシンボルのデータが利用できる最初の日付より前になる任意の年に設定します (例: 1900年)。

なお、ボックスの描画は開始年の翌年から開始されることにご注意ください。平均変動率の予測を始めるにあたって、このインジケーターでは少なくとも1つ前の年のデータが必要とされるためです。たとえば、開始年が2015年の場合、ボックスの描画は2016年まで開始されないことになります。

Positive Color(プラス色)

プラスの値を含むボックスおよびヒートマップ部分の色です。

Negative Color(マイナス色)

マイナスの値を含むボックスおよびヒートマップ部分の色です。

Color Intensity Cutoff (%)(不透明度カットオフ値 (%))

色の強度(不透明度)算出にあたって、強度(不透明度)が最大になるパーセントの絶対値を指定します。対応する値がここで指定したレベル以上の絶対値になると、最も高い強度 (不透明度) でヒートマップが表示されます。たとえば、カットオフ値を10%に設定すると、対応する値が10%に近づくにつれて色がより不透明になっていきますが、10%以上の値になればすべて同じ不透明度になります。

Show Seasonality Heatmap(季節性ヒートマップの表示)

チャート右上のヒートマップの表示/非表示を切り替えます。

Show Change% per month(月間変動率の表示)

ヒートマップで月間変動率を表示している部分の表示/非表示を切り替えます。

Show Averages(平均値の表示)

過去に蓄積されたデータに基づく各月の平均変動率を表示した "Avgs" 行の表示/非表示を切り替えます。

Show Standard Deviation(標準偏差の表示)

各月の過去の変動率について標準偏差を表示する "StDev" 行の表示/非表示を切り替えます。標準偏差は、過去の変動率の平均を中心として変動率のばらつきを測定します。この指標を分析すると、ある月の変動率が、年々変化する傾向があるのか、それとも安定しているのかを判断することができます。

Show Percent Positive(プラス変化の割合表示)

"Pos%" 行の表示/非表示を切り替えます。たとえば、記録された9年間のうち、同じ月が6年間プラスであった場合、 "Pos%" 行に表示される比率は、6/9*100 = 66.67%となります。


Ignored months(除外月)

「季節性」インジケーターの計算対象から除外する月を指定します。月を除外するには "YYYY-MM" 形式で記述します。カンマとスペースで区切ることで、複数の月を除外することもできます。たとえば、"2020-03, 2022-11" と記述すれば、2020年3月と2022年11月が除外されることになります。