バーリプレイ: 過去データで戦略をテストする方法とその理由
バーリプレイでは過去の値動きのシミュレーションによって戦略をテストすることができます。現実のお金をリスクにさらさずに過去の市場動向を分析しながら取引判断を練習できるので、トレーダーにとっては戦略を磨き上げるのに役立つツールとなっています。トレードスキルを向上させたり戦略を改善するにあたり、過去の市場動向から価値ある洞察を得る方法を、バーリプレイはリスクゼロでインタラクティブかつダイナミックに提供します。
内容
この記事では機能全体の概要が示されており、戦略のテストやトレードのシミュレーションを行う際の手順を段階的に示したガイドを記載しています。
- トレーダーに「バーリプレイ」が必要なのはなぜですか?
- 「バーリプレイ」の使い方: ステップ・バイ・ステップ ガイド
- 「バーリプレイ」での描画およびインジケーターの使用法
- 過去データは最大でどこまで遡ることができますか?
- 「バーリプレイ」ではどんなショートカットキーが使用できますか?
- 「バーリプレイ」を始めるにあたって、知っておいた方がよいことはありますか?
- 「バーリプレイ」が思うように動作しないときはどうすればよいですか?
トレーダーに「バーリプレイ」が必要なのはなぜですか?
過去データ上でのトレードは開始点を自分で選択することができ、再生速度を制御しながら自分の戦略から生まれる成果を追うこともできます。しかし「バーリプレイ」は過去の分析だけにとどまらず、未来を視野に入れた思考にも役立ちます。「バーリプレイ」の主なメリットは以下のとおりです。
戦略の洗練: 過去の価格分析とトレードのシミュレーションを通して改善点を見極めることができるので、トレード戦略をテストしながら洗練させることができます。
現実に近い環境での学習: 実際の市況をシミュレーションしながら、戦略のパフォーマンスについて実践的な洞察を得ることができます。
過去データの分析: 過去の値動きを分析することによってパターンや傾向を発見することができ、その情報に基づいた判断ができるようになります。
リスクゼロでの練習: 実際にお金をリスクにさらすことなく練習ができるので、初心者でも本番のトレードに向けて経験を積んで自信を養うことができます。
カスタマイズされたスピード: 様々なツールや戦略に習熟するために、学習ペースに応じてリプレイのスピードを調整できます。
「バーリプレイ」の使い方: ステップ・バイ・ステップ ガイド
どんな機能であれ、新しいものに慣れるのは大変なことです。ここでは簡単な操作ガイドをご紹介します。
「バーリプレイ」を開く: まず最初に、チャート画面の上部パネルにある「バーリプレイ」ボタンに移動します。ビデオの「巻戻し」の記号に似たボタンです。このボタンをクリックすると、リプレイパネルが開きます。
リプレイ中の操作: リプレイパネルを開くとその中にメディアプレーヤーと同じような機能を持つリプレイ用のボタンがあることにお気づきになるでしょう。これらのボタンを試しに使ってみて、どのように動くかを探ってみましょう。
開始点を選択する: 今はチャート上でリプレイの開始点を選択できる状態になっています。チャート画面上でカーソルを動かすとハサミがついた青色の縦線が現れるので、リプレイを開始したい日時でクリックしてください。
このセクションで「日時を選択」ボタンを押すと、特定の日付を選択することによって、手動でチャートを移動させることなく履歴の中にあるどのバーでもリプレイの開始点にできます。同様に「利用可能な最初の日付を選択」ボタンを選択すれば、チャートの履歴中で最初の日を開始点にできます。また「ランダムに選択」する機能を選ぶと、チャート内でランダムにバーを選択することができます。
リプレイを開始する: 「再生」ボタンをクリックして再生を開始します。再生前または再生中にお好みに応じて再生速度を制御できます。
手動で進行させる: リプレイ速度を下げると詳細がすべて把握できます。バーを一本ずつ進めるには「進む」ボタンをクリックしてください。
状態を確認する: 「バーリプレイ」が実行中かどうかについては、チャート上に表示されるマークで確認ができます。リプレイのマークが表示されていれば、チャートはリプレイモードになっています。このマークが無ければ、リプレイ中ではありません。
開始点を変更する: リプレイが実行中であっても、開始点を別の場所に切り替えることができます。ご自分の分析に適した開始点を「バーを選択」「日時を選択」または「ランダムに選択」から選んでください。
複数チャートを表示する場合: 「バーリプレイ」の実行をレイアウト内の全チャートで同期させると、1つのシンボルの変化をいくつか異なる時間足で追ったり、まったく別のシンボルの変化を同時に追跡することもできるようになります。
ワークスペースを複数のチャートに切り替えると、リプレイモードを「単一のチャート」と「すべてのチャート」のいずれかから選択できるようになります。
「単一のチャート」モードでは、1つのチャートのみでリプレイが起動されます。これは以前と同じ機能です。
「すべてのチャート」モードでは、開始点のバーを選択すると、レイアウト内のチャートすべてに開始点を示すラインが表示されます。1つのチャート上で開始点を選択する間、他のチャートでもその時間が同期され、各々のチャートの見える範囲にリプレイの開始点が表示されます。
このモードでリプレイすると各チャートの時間が同期されるため、時間足がそれぞれのチャートで異なっている場合は、下位時間足のチャートデータの表示を待ちながら上位時間足のチャートがリプレイされることになります。たとえば、日足と週足を同期させたリプレイの場合、日足で7本のバーが読み込まれたときに週足で新しいバーが出現します。
リプレイを終了する: リプレイを終了して現在のデータに戻るには、「現在のバーにジャンプ」ボタンを使用します。これを使うと現在のバーにすぐ戻ることができます。
リプレイパネルを閉じる: リプレイパネルを閉じるには、リプレイパネルの [X] ボタンをクリックするか、チャート上部の「バーリプレイ」ボタンを再度クリックしてください。
「バーリプレイ」での描画およびインジケーターの使用法
「バーリプレイ」と通常のチャートでは、描画やインジケーターを使用する目的や機能が少し変わってきます。
「バーリプレイ」では、描画は過去の価格データに対して着目すべき点として機能するので、戦略のテストを支援する役割があります。また、ここで作成した描画は「バーリプレイ」の終了後も保存されます。
インジケーターは選択したパラメーターをベースに過去の値動きを分析するので、そのパフォーマンスを評価することが戦略の改善につながります。「バーリプレイ」では、過去データをリプレイしながらインジケーターの計算を行うことができます。
過去データは最大でどこまで遡ることができますか?
シンボルやチャートの時間足の選択によって、バーリプレイの過去データ量が異なる場合があります。日足や日足をベースにした時間足では、利用できるかぎりのデータがすべてチャート上に表示され、バーリプレイモードでもそれと同じデータを利用することができます。日中の時間足の場合はTradingViewで保持できるデータ量に限りがあり、プランによってバーリプレイで利用できる期間の長さが異なります。
Essentialプランの場合
- 計算式: 6週間×時間足(分単位)
- 上位の時間足を選択すれば、それだけ多くの日中データが利用できるようになります。
例
1分足チャートでは6週間前、2分足チャートでは12週間前、5分足チャートでは30週間前、15分足チャートでは90週間前まで遡ることができます。
Plusプランの場合
- 計算式: 6カ月×時間足(分単位)
- Essentialプランよりも「バーリプレイ」で利用できる日中データの量が増えます。上位の時間足を選択すれば、それだけ多くの日中データが利用できるようになります。
例
Plusユーザーであれば、分足の1分につき6カ月分のデータにアクセスすることができます。2分足の場合だとこの制限が2倍に延長されるため、1年分の2分足データがご利用可能になります。3分足では3倍になり、18ヶ月分の3分足データをご利用いただけます。
プラン | 秒ベースの時間足 | 1分足 | 2分足 | 3分足 | 5分足 | 15分足 |
Essential | - | 6週間 | 12週間 | 18週間 | 30週間 | 90週間 |
Plus | - | 6ヶ月 | 12ヶ月 | 18ヶ月 | 30ヶ月 | 90ヶ月 |
Premiumプランおよび各種プロフェッショナルプランの場合
Premiumプランおよびプロフェッショナルプラン (ExpertとUltimate) では「バーリプレイ」で利用できる日中の過去データがさらに増え、TradingViewのデータストレージ上に存在する全データをリプレイすることができます。ここでいう「全データ」とは弊社が保有する過去データすべてのことであり、特別な制限は設けられていません。1時間/1分/1秒 — どの時間足であっても過去データに最大限アクセスすることができ、そのシンボルについてTradingViewがカバーしているところまで過去に遡ってリプレイすることができます。
過去データの量は選択したシンボルとチャートの時間足によって異なる場合があります。日中の時間足の場合はTradingViewで保持できるデータ量に限りがあるので、日中の時間足のデータ量が日足よりも少ないケースがあります。たとえば、NASDAQ:AAPLを日足で表示する場合、日足の過去データの開始点は1980年12月12日ですが、1分足のデータは2000年1月3日から始まり、1秒足のバーだとリプレイできる一番古いデータは2022年8月17日になります。
1分足のデータだけを例にとっても、シンボルによって2011年や2009年までしか遡ることができないものもあれば、2000年まで遡ることができるものもあります。最後の例だと「リプレイモード」で最大20年以上の分足データがリプレイ可能です。ただし、これらよりも日中の過去データが少ないシンボルもあり、そのぶんリプレイで表示できるデータも少なくなります。
秒ベースの時間足については、TradingViewでは2022年8月からデータを保存しており、秒足のバーの中で最も古いものは2022年8月17日にまで遡ってリプレイできます。
つまり、Premiumプランと各種プロフェッショナルプランでは、シンボルのデータを弊社ストレージでカバーしている範囲まで遡ってリプレイすることができることになります。以下にその例を示します:
シンボル | 最初の1秒足のバー | 最初の1分足のバー | 最初の日足のバー |
NASDAQ:AAPL | 2022年8月17日 | 2000年1月3日 | 1980年12月12日 |
NASDAQ:MSFT | 2022年8月17日 | 2000年1月3日 | 1986年3月13日 |
SP:SPX | 2022年8月17日 | 2000年1月3日 | 1871年1月1日 |
TVC:VIX | 2022年8月17日 | 1997年4月8日 | 1990年1月3日 |
TVC:DXY | 2022年8月17日 | 2007年3月13日 | 1967年1月31日 |
FX:EURUSD FX:GBPUSD | 2022年8月17日 | 2001年11月28日 | 1971年1月4日 |
BITSTAMP:BTCUSD | 2022年8月17日 | 2011年8月18日 | 2011年8月18日 |
BITSTAMP:ETHUSD | 2022年8月17日 | 2015年8月7日 | 2015年8月7日 |
なお、上記のリプレイデータの制限は、先物つなぎ足のチャート - 1! や 2! のシンボル(たとえば、ES1!やNK2251!)および「日足で清算価格を終値として利用」する設定が有効になっている先物銘柄には適用されない点にご注意ください。これらは合成シンボルであるという特性から日中の時間足のデータ量に独自の制限があり、プランによって以下の相違点があります:
- Premium/Expert/Ultimateプランのユーザーは、秒ベースの時間足すべてにおいて合成シンボル30日分の秒データにアクセスできます。
- Premium/Expert/Ultimateプランのユーザーは、合成シンボル1年分の1分足データにアクセスできます。2分足の場合、上限は2倍になり、2年分の2分足データを利用できます。3分足の場合、上限は3倍になり、3年分の3分足データを利用できます。以下同様に上限が増加します。
- Plusプランのユーザーは、1分足チャートで6ヶ月前、2分足で12ヶ月前…(以下同様)まで遡ることができます。
- Essentialプランのユーザーは、1分足チャートで6週間前、2分足で12週間前…(以下同様)まで遡ることができます。
ご自身のプラン内容に照らして、あるシンボルでリプレイ可能なバーはどこから始まるのかを調べるには、リプレイモードをオンにしてリプレイパネルのドロップダウンメニューから「日時を選択...」を選択し、「利用可能な最初の日付を選択」ボタンを押してください。
そうすると「日時を選択」メニューから、一番最初のバーをはじめとして利用可能な過去データの範囲であればどのバーからでもリプレイを開始することができます。
さらに日中データを遡ってアクセスするには、バーリプレイの開始点をそれよりも上位の時間足で選択してから下位の時間足へと切り替える必要があります。たとえば、過去の1分足のバーをリプレイしたい場合は、いったん日足に戻ってからリプレイモードをオンにし「バーを選択」のオプションを選択します。そして、ご自身のプランの制限内で開始点を選択したのち、1分足に切り替えて「再生」ボタンを押します。
バーリプレイで指定したリプレイの開始点が遠すぎて選択した期間に利用可能なデータがない場合は、自動的に利用できるバーのうちで一番過去にあるバーを表示します。
時間足を上位から下位に切り替えた際に、上位の時間足(例:1日)では利用できるデータが下位の時間足のチャート(例:1分)では日中データについてプランの上限に達しているため利用できないというケースや、そもそもTradingViewのデータストレージにそれほど過去に遡れるだけの日中データがないというケースもあり得ます。この場合、時間足は変更されずにチャート画面の左下に 「データポイントが利用できません」というメッセージが表示されます。
リプレイで下位の時間足を使いたい場合は「日時を選択」オプション → 「利用可能な最初の日付を選択」ボタンを使用して、下位の時間足で利用できるデータの開始点を選択する必要があります。
「バーリプレイ」ではどんなショートカットキーが使用できますか?
AからBにできるかぎり素早く移動するというのは誰にとっても大事なことです。ショートカットキーの力を借りれば、マウスやトラックパッドを使うことなくキーボードから便利に素早くリプレイの制御ができます。
リプレイを開始または停止させるには、 Shift + ↓ を押します。
バーを一つ前に進めるには、 Shift + → を押します。
「バーリプレイ」を始めるにあたって、知っておいた方がよいことはありますか?
「バーリプレイ」機能の可能性を試していくうちに、その詳細や実際の動作が分かってくるでしょう。ここでは、使い始めようとする際に役に立つヒントをご紹介します。
- サーバー型アラートはリアルタイムデータに基づいて保持されます。
- リプレイ中にサーバー型アラートの新規作成はできません。
- 取引の注文(ペーパートレードやブローカーでの注文など)はリアルタイムデータを使って約定されます。
- リプレイモード時でも、トレードパネルやウォッチリストにはリアルタイムデータにしたがって価格が表示されます。
- 非標準のチャートタイプは「バーリプレイ」に対応していません。
- リプレイ中は「回帰トレンド」と「固定期間出来高プロファイル」のツールは無効です。
- 1本のバーをさらに細かく分割したリプレイはできません。
- バーリプレイはスプレッドチャートやティックベースのチャートでは動作しません。
「バーリプレイ」が思うように動作しないときはどうすればよいですか?
「バーリプレイ」がスムーズに動作するように努めていますが、「バーリプレイ」が期待通りに動作しない場合の対処法もいくつかあります。
- 「バーリプレイ」でお望みのデータが表示されない場合、たとえば、この時間足で利用可能なデータがない、またはプランによってデータが利用できないなど様々な理由が考えられます。こうしたケースでは、データにアクセスすることはできません。
- それでも問題が解決しない場合は、いつでもヘルプセンターをご利用いただけます。こちらでは、よくあるご質問に対する回答をご覧いただけるほか、サポートチームへのお問い合わせも承っています。