今年2月のアイデア投稿で「ユーロドル」に関する見通しをご説明した。
(※前回記事ページ下にリンクあり)
前回のユーロドル見通し記事では、今後のユーロドル相場の動きとして3月以降も引き続きズルズルと値を切り下げ、最後に大幅な下落、クライマックスセリングを迎え相場の底を迎えるだろうという見通しをお話しした。
現状ユーロドルの動きは2月に出した見通し通りの動きとなっている。
結論から言うと、拙者は今週明けにユーロドルの長期ロングポジションを取った。
ユーロドル相場は大底をつけたかは分からぬが既に「長期負けない水準」「1年以内に十分な利益を回収できる水準」に達しただろう。
以下、前回投稿と重なるユーロドル相場反転の材料と、前回投稿から見通しの変わっている部分についてお話しして行く。
[まずは前回のおさらい]
前回のアイデア投稿2月の時点では、ECBの金融政策スタンスは今年10月に資産購入プログラムの終了、併せて10月からのユーロ圏利上げ開始が一般的となっていた。
それに対し拙者からは、ユーロ圏を襲うインフレの現状を考え、ECBによる資産購入プログラムの終了と利上げのタイミングは今夏に前倒しされ、それによりユーロドル相場は反転を迎えるだろうと言うことをお話しさせていただいた。
ECB金融政策の見通しについてはその読み通りに進んでおり、現在今年7月の資産購入プログラム終了と7月からの利上げ開始の可能性が日に日に高まっている。
現在タカ派な予想でもECBの年内3回の利上げ予想が大勢だと思うが、これが7月、9月、10月、12月の全4回で0.25%利上げが行われる可能性もあると考えている。
その理由はECBがインフレの問題に加え、それを加速させるユーロ安の解決を意識し始めたところにある。
利上げがユーロ安阻止にもつながり、よりインフレ抑制につながるという見解が強くなってきており、以前に増してECBの利上げに対する意欲は増しているだろう。
ここまでが前回のおさらいだ。
さて、そして状況は前回よりもやや複雑にはなってきている。
状況を複雑にさせているのはご存知の通り、ウクライナ戦争を機にした欧州エネルギー問題だ。
欧州経済が完全に停止してしまうほどのエネルギー危機に陥ることは無いと思うが、エネルギーコストの上昇はダイレクトに欧州の経済成長に反映する。
経済成長率GDPは「(国内需要)+(貿易収支)」から算出されるためエネルギー輸入価格の上昇はダイレクトに経済成長率指標の悪化に響いてくる。
これを理由に、既に2022年の欧州経済成長率は各アナリストから引き下げが行われている。
ただ、為替を決める本質的なファンダメンタルズとは「金利」と「信用力」の2点であると拙者は考えており、経済成長の停滞がユーロドル相場に長期的な下落トレンドをもたらす事は無いと考えている。
また中国を始めとする世界的な景気減速でエネルギー需要が予想を下回る兆しが見え始めていること、米国天然ガスの欧州供給のために現在欧米で急ピッチにLNG基地への投資が進められていることなどを考えると、壊滅的な欧州エネルギー危機というシナリオも考えずらいとは思う。
但し、短期的には分からない。
時に相場は本質的で無い不安材料にヒステリックに反応する。
短期的なパリティ割れ(ユーロドル=1.0000割れ)もあり得るスタンスで十分に余裕を持った投資ロットで挑みたい。
[具体的にどうするべきか?]
まず、このトレードの大きな魅力の一つは、その「戻り幅の大きさ」だ。
ユーロドルはCPI購買力平価で見れば既に22%も割安の水準にある。
この水準は2017年最安値(18%割安)の水準を上回り、ユーロ発足以来最低を記録した2020年水準(30%割安)に次ぐ過去二番目の割安水準だ。
こうした水準からの反発幅は大きく、また早く、反発から1年以内に1000-1500PIPSの戻りは見せるだろう。
好材料はいらない、最悪期の脱出だけでこれだけの自立反発力がある。
この狙う大きな戻り幅に対して「1:1」や「1:1.5」といったリスクリワードで投資ロットサイズを設定すれば良い。
そうすると自ずとロスカット水準はパリティ価格も大きく下回り、まさかにも対応できる十分に余裕を持った投資ポジションとなる。
1年間を掛けて取ったリスク額を倍にするイメージだ。
1年は長すぎると感じるだろうか?
リターンにワクワクを感じないだろうか?
一度こうしたトレードが長期複利でどれほどのリターンを与えるか計算してみると良い。
少なくとも拙者はこうしたトレードを何年も続け、再投資し、そのリターンには非常に満足している。
また誤解の無いように。
自立反発に期待して大きく下げた相場を何でも買えば、高値を更新した相場を何でも空売れば良いというものでは無い。
例えば現在米国株S&P500は4000ポイントの水準にあるが、ここで拙者が「3000ロスカット or 5000ターゲット」といった取引をするだろうか?
そんな事は間違いなくしない。
S&P500の3000割れは十分に考えられるし、次回S&P500の5000ポイント達成は何年も先になる可能性もある。
あくまで悪材料と好材料の出し尽くしに近づいた、底値圏と天井圏でエントリーをしている。
(大底値、大天井値である必要はない)
大事な事は「長期負けない水準」でエントリーすることと、「1年以内に十分な利益を回収できる見込みがある」ことだ。
そうしてこうしたチャンスは年に何度もない。
以上、今回は拙者が長期ロングエントリーを行ったユーロドル相場とそのポジション構成の考え方についてご説明させていただいた。
※尚長期投資となるためスワップポイントが非常に重要となってくる。
※この取引の場合には、EUR/USDスワップポイントの低い業者で取引を行う。