値幅観測「N計算値」について(5401)日本製鉄 週足
相場が下降トレンドから上昇トレンドに移行してきたような動きです。
もちろん、もっと大きな流れで見れば、あくまでも大局の下降トレンドの戻し(一時的な上昇のこと)かもしれません。
ただ、底打ちから上昇トレンドして、暫く膠着状態の動きが続きました。
そして、その膠着状態を上抜けてからは分かりやすい上昇トレンドを形成しています。
そのときに、どれくらい上昇するかは誰にも分かりませんが、目安としてどれくらい上昇するかというのを予め測っておくことを観測と言います。
その観測には日柄と値幅がありますが、今回は値幅観測についてみていきます。
値幅観測の基本系は「N計算値」になります。
アルファベットの「N」のように計測する計算値です。
まず、安値から上昇した値幅を測ります。
その後、押し目(一時的な下降)をつけます。
その安値から最初に計測した上昇幅を、その後の押し目から測ります。
これが「N計算値」です。
これが意味することは安定上昇です。
これ以上に上昇するときは、相場に勢いがある時です。
その場合はまた、計算値が変わってきます。
今、チャートを見ると、丁度「N計算値」のところです。
安定上昇が終わり、流れが反転するか、勢いが出てさらに上昇するかの見極めです。
しっかりと、この後の動きを見ていきましょう。
チャートパターン
トレンド転換を読み解く!(4063)信越化学工業 週足
上昇トレンドが続くときは、上昇局面と、調整局面の二つで構成されます。
上昇トレンドが続くわけですから、基本は上昇する時間が多いのですが、どういった調整をするかによって時間は変わってきます。
チャート上には3つの調整局面が表示されています。
2018年のときはやや時間をかけて調整をしています。
2020年の時は時間は短く価格が一気に下がって調整しました。
2021年後半から2022年の調整はどうでしょうか?
時間も長く価格も大きく調整しているようです。
200週EMAでサポートされて反発してきました。
一先ず、高値から引いたトレンドラインは上抜けてきました。
上昇トレンド継続となるには条件が要ります。
それは、高値を更新するということです。
高値を更新して初めて上昇トレンド継続となるのです。
ということは、今回はトレンドラインを上抜けたわけですが、上昇トレンド再開かどうかはまだ未定であるということです。
ここがポイントです。
反発してきましたので、目線は買い目線ではあるものの、実は、下降トレンドが始まっていてその一時的な戻しということもあるのです。
高値更新(黒の水平線)を上抜けるまでは両方の可能性があるということを意識しながら見ていきましょう。
中間波動での考え方(8058)三菱商事 日足チャート
相場はトレンド相場と中間波動が混在して成り立っています。
(中間波動とは今までのトレンドが終わった状態のことです)
そして、中間波動の局面はトレードが難しくなる局面でもあります。
今まで、分かりやすいトレンド相場だったものが、高値を更新しなくなり、また、安値も更新しないために横這いの動きになってきました。
こうなってくると、長期でトレンドを獲るという考え方から、短期で値幅を獲るという考え方にシフトするか、そもそも、トレードを休むかという選択肢も出てきます。
そして、ここからトレンドが出てくれば、トレードを再開し、また、短期で狙っていたものを長期狙いに変更していきます。
では、どうなれば、トレンドが出てくるのでしょうか?
水平線を2本引いています。
この水平線を上下どちらかに抜けてくればトレンドが発生します。
上に抜ければ買い、下に抜ければ売りで対応していきます。
どちらに抜けてくるかはわかりませんが、下値が切り上がっていますので、下値切り上げの動きが続けば上抜けてきます。
ということは、2本の水平線と1本のトレンドラインをどうブレイクするかどうかに注目すれば、次の展開を予測しやすくなるということですね。
丁寧に見ていきましょう!
クセが強い銘柄はある(4523)エーザイ 週足
アルツハイマー用の新薬が米国で承認されたことで注目を集めています。
では、チャートはどうなっているでしょう。
高値と安値に2本、トレンドラインを引きました。
すると、見事に高値が切り上げ、安値も切り下げの拡大型のチャートになっています。
こういった銘柄はトレードするには難しいということを理解しましょう。
もちろん、このチャートは週足ですので、日足であればある程度の値幅は狙えますが、大きなトレンドを狙うには難しいチャートです。
では、トレードしやすいチャートと難しいチャートの大きな違いはどこになるのでしょうか。
いくつかの要素がありますが、一つには200本EMAと価格の関係になります。
このチャートは200本EMAを上下に簡単に行き来しています。
これが難しいチャートの特徴です。
200本EMAがきれいに右肩上がり、もしくは右肩下がりになっている銘柄の方がトレードはしやすいというのがあります。
もちろん、これだけではありませんが、銘柄選びの参考にはなります。
200本EMAと価格の関係を様々なチャートで確認してみましょう!
トレンド変化を高値・安値から感じ取る(2914)日本たばこ産業(JT) 週足
ここにきて、JTの動きが堅調になっています。
チャートを見ると上昇トレンドと下降トレンドがきれいな動きになっているチャートになっています。
2020年からは反発してきて、コロナショックで一時的に下押しましたが、その後は上昇トレンドを形成し、大局の方向性を見極める200週EMAも超えてきました。
この大局の上昇トレンドから下降トレンド、そして、再び上昇トレンドを形成していますが、
このトレンドが転換するときに、高値や安値の位置を見ることで変化を先読みすることができることがあります。
直近のところは下降トレンドから上昇トレンドに変化しています。
しかし、ここでは、下降から上昇になるにつれて、「V」字転換しており、予兆をつかみにくい動きでした。
一方で、上昇トレンドから下降トレンドに移行するところは、高値の位置を見ることで転換の予兆を感じることができました。
高値の位置が加速した後に、横這いになったところで上昇の勢いがなくなってきたのが分かり、変化の予兆を感じることができますね。
変化を感じ取ることは様々なケースで判断できますが、高値、安値の位置でも判断できることがありますので、各自チャートで確認してみましょう。
なぜ高値はよく掴むのに、底値で買うことは難しいのかなぜ高値はよく掴むのに、底値で買うことは難しいのか?
結論から言うと、高値で買ってしまう時は恐怖がなく、底値買いは恐怖に打ち勝たなければならないためである。
高値掴みになるパターンにも次のように色々ある。
①上昇トレンド→下降トレンドの転換時or一時反落
②下降トレンド中の一時反発時
③決算直後などの急上昇時
これらの時に順張りでエントリーしていると高値掴みとなりやすい。
これらのケースで買いでエントリーするときの心理を想像してみてほしい。
①のケースでは「まだまだ上がるだろう」
②のケースでは「そろそろ上がるだろう」
③のケースでは「ヤバい、早く買わねば!」
といったところだろうか。
※もしこの時の心理に枕詞として「ちょっと前にここまで上がっていたのだから」という文言が付いていたら、それは過去に見聞きしたことに引きずられたアンカリング効果と呼ばれる心理であるので注意したい。
いずれも上昇を見てから購入するため、「自分よりも過去に買っていた人」および「売買周期が早い人」の利確の餌食になりやすい。
定義上、上昇を見てから買うのが順張りだから致し方のないことではある。
しかし上記の心理はあくまで「まだ買っていない自分」の目線での感想である。エントリー前には「既に買っている人からはどう見えそうか」も意識しておくことが重要である。
揉み合いの後に抵抗線を上に超えた直後や、上昇中に一度下がって前回高値を再び超えた直後は教科書的には買いサインである。
一方で買えるということは同時に売りたい人が存在することも忘れてはならない。
※※※売りたい人がいないと買うことはできない。※※※
それは例えば上にブレイクアウトする方に賭けて上がる直前に買った人や、一つ前の高値で買ってしまい一時含み損となっている人、さらにはもっと前に買っていて含み益があり「少し下がったからまた上がったところで利確しよう」と考えている人たちである。これらの人々はこのタイミングで売りたいと思っている。
ここでは仮にあなたが中長期投資家だとした場合、デイトレーダーたちは即日ポジションを解消してくるので、あなたのエントリーに対して反対の動きをしてくるだろう。これは売買周期の差である。
とりわけ決算直後は値動きが大きくなるのでデイトレーダーたちに好まれる。そのため彼らはある程度上がったら一斉に売りを仕掛けてくる。長期投資家は決算直後に上がったのを見てから買うと一定時間後に彼らの利確に巻き込まれるため数日〜数週間含み損になりやすい。しかし投資を始めたばかりの人は含み損に慣れておらず、長期目線で始めたはずなのに高値買いしたと思い込んですぐ損切りしてしまう。この例ではあなたは中長期投資家だったはずである。投資周期は混ぜるな危険ということだ。が、何度か損するうちに自然と学ぶだろう。
同じ土俵の長期投資家が相手の場合でも、大きな上昇トレンドの後では自分より早めに買っていた人たちは大きな含み益を得ている。すると彼らはプロスペクト理論により手元の利益が減ることの恐怖が強くなって利確したい人が増えている。それに対して買う側は「持っていないことの恐怖」が強く出ており、上がっている時ほど買いを促される。
このような売りたい人々の存在を考えずに衝動買いでエントリーしてしまうといとも簡単に高値掴みをしてしまう。
これらの売り圧力に飲まれないための簡単な工夫として、敏腕トレーダーたちは1発目ではなく2発目のブレイクアウトでエントリーすることを推奨している。
なおブレイクアウトとみなせるラインすれすれに逆指値を入れて放置してしまうと1発目を拾いやすいので要注意である。(価格設定で回避するのはなかなか難しいが。)
ここで高値は簡単に掴めてしまうのに、なぜ底値を掴むのは難しいのかと疑問にならないだろうか。チャートを逆にしただけではないのかと。
では逆にして考えてみよう。高値を掴みに行ったケースでは基本的に浮かれている。そこでは売り圧力はないかなど考えることはなく、自分に都合の悪い情報は過小評価し(正常性バイアス)、勢いだけで買っている。
これを逆にすると下落中に同じ勢いで買うということになる。そのためには下落相場においても、そこに恐怖があってはならない。
果たして普通の人にそんなことができるだろうか?
もし事前に下落到達目標点を設定し、恐怖に抗って喜んで買えるようになれば、それはもはや一流トレーダーの心理だと言って良いだろう。
トレードはメンタルが9割などと言われる所以はこういうところにあると思っている。
投資の世界では上昇相場におけるバンドワゴン効果というのが有名である。これは既に上がっているものに対し、勝ち馬に乗ろうと追従する心理である。この時は実際に「買う」という行動が簡単にとれる。繰り返すがここに恐れはない。
しかし逆に下落相場において、その対義語のアンダードッグ効果(劣勢なものを応援したくなる心理)は生まれにくい。
※もちろん心の中で「上がれ!」と叫んではいるだろうが。
心の中で応援するのはタダである。だがその応援に自身の損失の可能性が付与された途端、プロスペクト理論による「損失は過大評価されやすい」という心理が働いてしまう。つまり人間の心理的に下落相場時に買うことはどうしても難しいのである。この損失回避性の心理はチャートに形としても表れており、多くの箇所で上昇よりも下落の方が傾きが急なことが分かるだろう。
いま米国相場は楽観的な個人投資家勢と悲観的な機関投資家勢により揉み合っている。
実際の底値は数年経つまで分かるものではないが、予想が外れたらすぐ損切りすれば良いと割り切って、下落中でも底を見計らって果敢に買わなければ底値で買うことはできない。
(とは言っても私個人のSP500の底値の見立ては2800ポイント前後としているのでまだまだ全力で買う気はないが。)
教科書に載せたい対局のトレンド転換のチャート(8035)東京エレクトロン 日足
大局のトレンド転換のパターンがよくわかるチャートとなっています。
大局のトレンド転換のパターンを頭に叩き込み、何も見なくても図を描けるように覚えましょう。
上昇トレンドが始まると、価格は200日EMAから放れていきます。
押し目を付けても200日EMAでサポートされます。
そして、高値を切り上げながら200日EMAも右肩上がりの動きになっていきます。
その動きに変化が起きるときは、まず、高値を更新しなくなります。
高値が切り下がっていきます。
そして、200日EMAが横這いになっていきます。
価格が200日EMAでサポートされますが、徐々に下回り始めます。
そして、価格が200日EMAを明確にした抜き、200日EMAも右肩下がりになっていきます。
価格は200日EMAから放れながら下降トレンドを形成します。
200日EMAが抵抗線になっていきます。
この一連の流れを理解しましょう。
最後に直近を見ると、上に200日EMAがあります。
価格の下に帯があります。
こういう局面を「運命の分かれ道」といいます。
どちらに進むかで対局のトレンドが見えてきますので注目しましょう。
どうなれば、どうなるかは、上記の説明で理解しましょう。
トレンドラインを引いてみよう(9502)中部電力 週足
今、カルテルの問題で話題の中部電力のチャートを見てみようと思います。
チャートは週足なので、緩やかに推移している赤い線が200週EMAとなります。
チャートの左側は右肩下がりとなっていますので、下降トレンドがあったということが分かります。
その後は200週EMAが横這いに近い動きで価格が200週EMAを超えたり割ったりと、トレンドが無い状態が続いているのが分かります。
こういうトレンドが無い状態を「中間波動」と呼んでいますが、中間波動が続いている限りトレンドは発生しません。
逆に、中間波動が終わればトレンドが発生してきます。
ということは、中間波動の終わりを把握すればトレンドの初動を狙うことができるようになります。
では、どうやって初動を狙うのか?
そのヒントの一つがトレンドラインとなります。
今回、青い線でトレンドラインを2本引きました。
そうすると、下向きの鋭い三角形になっているというのが分かります。
高値と安値の幅が徐々に狭くなっています。
この上のトレンドラインと下のトレンドラインがくっつくまでに中間波動が終わるということがラインを引くことで見えてきます。
このチャートもそれなりに煮詰まってきています。
そろそろ、中間波動が終わりそうに見えます。
上下どちらかのトレンドラインを抜けたところが一つのサインとなります。
どちらに抜けるかに注目してみていきましょう。